定番書
を基に線形代数を学び直していく。
今日のまとめ
- 基底:線形空間の有限個のベクトルが以下の2つの条件を満たすとき、はの基底であるという。(1) は線形独立である。(2) の任意の元はの線形結合として表される。
4. 線形空間
4.5 基底
なおが線形独立ならば、ベクトルをの線形結合として表す方法は高々1通りしかない。実際
と書けるとき、
が成り立つ。このは線形独立であるから上記は自明な解しかもたないため、、すなわちが成り立つ。
であるときを除き、基底は必ず存在する。さらに言えば以下が成り立つ:
基底の存在性 のとき、が線形独立ならば、ここに有限個のベクトルを付け加えることでの基底を構築することができる。
もしのすべての元がの線形結合で表されるならば、これらは既にの基底である。もしの元にの線形結合で表せないものが存在するならば、それらはの中に存在する*1。
これがであったとしても一般性を失わない。これをとおく。このときは線形独立である。これらがまだ基底でなければ同様にからの線形結合として表すことのできないものを選んで更にとおく。これを必要なだけ行うことで高々回目にの基底に達する。 )
基底は唯一の組み合わせがあるわけではない。しかしどの基底もそれを構成するベクトルの個数はすべて同じである。
( のあいだに線形関係があるならば、
が成り立つ(はの零元である。)。逆にについても同様のことが成り立つ。 )
基底と同型写像 が個のベクトルからなる基底を持てば、はに同型である。
と一意に表現することができる。
そこでを
で定義すると、これはとのあいだの同型対応を与える。 )
*1:やりなおしの数学・線形代数篇(009/X) - 「大人の教養・知識・気付き」を伸ばすブログの「線形結合の線形結合」参照。