定番書
を基に線形代数を学び直していく。
今日のまとめ
5. 固有値と固有ベクトル
5.1 固有値と固有ベクトル
直和は
全体に一致するとは限らない。これに関して次の定理に成り立つ。
であるとする。このときであるから、
が成り立つ。したがってが成り立ち、これは
はすべて
の固有ベクトルである。
逆にがすべて
の固有ベクトルであるとする。
とすれば、基底
に関する
の行列は
に等しい。 )
この定理は以下のように言い換えることが出来る。
固有値を具体的に計算するためには、次のような代数的な方法が簡単である。
次行列
があるとき、変数
の多項式
を行列の固有多項式という。
次方程式
を
の特性方程式もしくは固有方程式という。この方程式の解を
の特性解という。
上の線型空間
の線形変換
に対して
の任意の基底に関する
の行列
の特性多項式、特性方程式および特性根をそれぞれ線形変換
の特性多項式、特性方程式および特性根を線形変換
の特性多項式、特性方程式および特性根という。
別の基底に関するの行列を
とすれば、
となるような正則行列
が存在するから、
が成り立つ。したがっての特性多項式は基底の取り方に依存せず定義できる。複素係数の
次方程式は複素数の範囲で重複も含めちょうど
個の根を持つことに注意する。
(
が行列
の固有値であるということは
に他ならず、それは更に斉次一次方程式
が自明でない解を持つことと同値である。これはが成り立つことに他ならない。複素線形空間の線形変換でも同様である。
実線形空間の線形変換の場合、任意の基底に関する
の行列を
とすれば、
は実行列である。このとき
が
の固有値であるということは実係数の斉次一次方程式
が自明でない実根を持つことを意味する。これはが実特性根であることと同値である。
)
これらをまとめると以下が成り立つ。