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やりなおしの数学・線形代数篇(17/26)

 定番書

を基に線形代数を学び直していく。

今日のまとめ

  • 固有値を具体的に計算するためには、次のような代数的な方法が簡単である。n次行列Aがあるとき、変数x多項式
    \begin{aligned}\Phi_A(x)=\det(xI-A)\end{aligned}
    を行列Aの固有多項式という。n次方程式\Phi_A(x)=0A特性方程式もしくは固有方程式という。この方程式の解をAの特性解という。
  • 行列Aもしくは複素線形空間の線形変換T固有値AもしくはTの特性根と一致する。実線形空間の線形変換の固有値Tの実特性根と一致する。

5. 固有値固有ベクトル

5.1 固有値固有ベクトル

 直和W_1\oplus W_2\oplus \cdots\oplus W_kV全体に一致するとは限らない。これに関して次の定理に成り立つ。


直和と線形空間 K上の線形空間Vにおける線形変換Tが適当な規定に関して対角行列で表現されるためには、

\begin{aligned}
V=W_1\oplus W_2\oplus \cdots\oplus W_k
\end{aligned}

必要十分条件である。

(\because 基底(E;\varphi),\ E=(\boldsymbol{e}_1,\cdots,\boldsymbol{e}_n)に関するTの行列Aが対角行列であるとする、すなわち、

\begin{aligned}
A=\begin{bmatrix}
\alpha_1&              &          &O           \\
              &\alpha_2&          &              \\
              &              &\ddots&             \\
O           &              &           &\alpha_n
\end{bmatrix}
\end{aligned}

であるとする。このときT_A=\varphi\circ T\circ \varphi^{-1}であるから、


\begin{aligned}
\varphi(T\boldsymbol{e}_i)&=T_A(\varphi(\boldsymbol{e}_i))\\
&=\begin{bmatrix}
\alpha_1&           &             &           &      \\
              &\ddots&             &           &      \\
              &           &\alpha_i&           &      \\
              &           &             &\ddots&      \\
              &           &             &           &\alpha_n
\end{bmatrix}\begin{bmatrix}
0\\
\vdots\\
1\\
\vdots\\
0
\end{bmatrix}\\&=\alpha_i\begin{bmatrix}
0\\
\vdots\\
1\\
\vdots\\
0
\end{bmatrix}=\alpha_i\varphi(\boldsymbol{e}_i)
\end{aligned}

が成り立つ。したがってT\boldsymbol{e}_i=\alpha_i\boldsymbol{e}_iが成り立ち、これは\boldsymbol{e}_1,\cdots,\boldsymbol{e}_nはすべてT固有ベクトルである。
 逆に\boldsymbol{e}_1,\cdots,\boldsymbol{e}_nがすべてT固有ベクトルであるとする。T\boldsymbol{e}_i=\alpha_i\boldsymbol{e}_iとすれば、基底(\boldsymbol{e}_1,\cdots,\boldsymbol{e}_n)に関するTの行列は


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
\alpha_1&              &          &O           \\
              &\alpha_2&          &              \\
              &              &\ddots&             \\
O           &              &           &\alpha_n
\end{bmatrix}
\end{aligned}

に等しい。 \blacksquare)

 この定理は以下のように言い換えることが出来る。


直和と線形空間 n次正方行列Aに対して適当な正則行列Pを取ってP^{-1}APが対角行列になるようにできるためには、n個の線形独立な固有列ベクトルが存在することが必要十分である。


 固有値を具体的に計算するためには、次のような代数的な方法が簡単である。
 n次行列Aがあるとき、変数x多項式


\begin{aligned}
\Phi_A(x)=\det(xI-A)
\end{aligned}

を行列Aの固有多項式という。n次方程式\Phi_A(x)=0A特性方程式もしくは固有方程式という。この方程式の解をAの特性解という。
 K上の線型空間Vの線形変換Tに対してVの任意の基底に関するTの行列Aの特性多項式特性方程式および特性根をそれぞれ線形変換Tの特性多項式特性方程式および特性根を線形変換Tの特性多項式特性方程式および特性根という。
 別の基底に関するTの行列をBとすれば、B=P^{-1}APとなるような正則行列Pが存在するから、


\begin{aligned}
\Phi_B(x)&=\det(xI-P^{-1}AP)=\det(P^{-1}(xI-A)P)\\&=|P|^{-1}\det(xI-A)|P|=\Phi_A(x)
\end{aligned}

が成り立つ。したがってTの特性多項式は基底の取り方に依存せず定義できる。複素係数のn次方程式は複素数の範囲で重複も含めちょうどn個の根を持つことに注意する。


固有値と特性根 行列Aもしくは複素線形空間の線形変換T固有値AもしくはTの特性根と一致する。実線形空間の線形変換の固有値Tの実特性根と一致する。

(\because \alpha\in\mathbb{C}が行列A固有値であるということは{}^{\exists}\boldsymbol{x}\neq\boldsymbol{0}\ s.t.\ A\boldsymbol{x}=\alpha\boldsymbol{x}に他ならず、それは更に斉次一次方程式


\begin{aligned}
(\alpha I-A)\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0}
\end{aligned}

が自明でない解を持つことと同値である。これは\Phi_A(\alpha)=0が成り立つことに他ならない。複素線形空間の線形変換でも同様である。
 実線形空間の線形変換Tの場合、任意の基底に関するTの行列をAとすれば、Aは実行列である。このとき\alpha\in\mathbb{R}T固有値であるということは実係数の斉次一次方程式


\begin{aligned}
(\alpha I-A)\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0}
\end{aligned}

が自明でない実根を持つことを意味する。これは\alphaが実特性根であることと同値である。 \blacksquare)

 これらをまとめると以下が成り立つ。


固有値と特性根 行列Aが対角行列に相似である、すなわちP^{-1}APが対角行列になるような正則行列Pが存在することは、Aの各特性根に対する固有空間の次元が\alphaの重複度に一致することの必要十分条件である。

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