計量経済学を学んでいく。
まずは
を中心に参照して基礎を学んでいく。
今日のまとめ
- 線形モデルを考えるとき、を攪乱項または誤差項と呼ぶ。
- 最小二乗法によれば、パラメータはで推定できる。
- 線形モデルの当てはまりを表す尺度として決定係数をで定義する。
2. 条件付き期待値と直線の当てはめ
2.1 条件付き期待値関数
条件付き期待値はの関数でもあり、母集団回帰関数という。
観測値の添字をとして観測値の関係は
以下では、とおき、と書くことにする。このときのを母集団回帰係数と呼ぶ。
2.2 標本回帰関数
標本から母集団回帰関数を推定したものを標本回帰関数といい、標本から標本回帰関数を求める手続きを回帰、標本回帰関数の係数を標本回帰係数と呼ぶ。
2.3 最小二乗法による回帰
観測値が得られたとする。これらの観測値が母集団回帰関数で表されるモデルで記述できると仮定する。このときに残差を
で定義する。この残差は攪乱項とは異なる点に注意せよ。以下、最小二乗基準による推定を考える。すなわちを最小化するようなを推定量とする。この関数がそれぞれに関して凸関数であることを踏まえれば、それぞれで偏微分した式の方程式の解を求めればよい。すなわちを解く。この式を回帰の正規方程式という。
求める推定量をとおけば、上式を整理することでが得られる。(a)よりが得られる。ここでとおいた。
式を(b)に代入することでが成り立つ。ここでであるから左辺第3項にこれを加えることで 先程と同様にが成り立つから右辺からこれを引くことで 以上においてを標本共分散という。をそれぞれの標本分散という。
2.3.1 残差の性質
残差は
と書ける。- (1) 残差の総和はである:正規方程式(a)から明らかである。
- (2) 残差との積和はである:正規方程式(b)から明らかである。
2.4 当てはまりの尺度、決定係数・重相関係数
回帰によりがをどの程度説明したかを測る尺度を考える。
完全に説明できた場合とはが成り立つときである。逆に全く説明が出来ない場合とはを指す。