「大人の教養・知識・気付き」を伸ばすブログ

一流の大人(ビジネスマン、政治家、リーダー…)として知っておきたい、教養・社会動向を意外なところから取り上げ学ぶことで“気付く力”を伸ばすブログです。データ分析・語学に力点を置いています。 →現在、コンサルタントの雛になるべく、少しずつ勉強中です(※2024年1月21日改訂)。

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ファイナンス練習(2021年09月10日)

 業務でC#を用いることになったので、最近勉強していなくて朧気になってきた知識をReviseする意味でも、以下の書籍を読みながらC#で実装してみる。統計学については別書で触れたいため大幅にカットします。今回はP.180-182まで(当分は実装なしが続きます)。

6. 確率過程の基礎

6.4 推移確率

6.4.1 非斉時的Markov連鎖

 非斉時的なMarkov連鎖\{X_n\}(n-m)ステップ遷移確率を


\begin{aligned}
p_{jk}(m,n)=P(\{X_n=k|X_m=j\})
\end{aligned}

と書くと、


\begin{aligned}
p_{jk}(0,n)=\displaystyle{\sum_{i=1}^{n}P(\{X_{n-1}=i|X_0=j\})P(\{X_{n}=k|X_{n-1}=i\}) }
\end{aligned}

したがって


\begin{aligned}
\boldsymbol{P}(0,n)&=\boldsymbol{P}(0,n-1)\boldsymbol{P}(n-1,n)\\
&=\boldsymbol{P}(0,1)\boldsymbol{P}(1,2)\cdots\boldsymbol{P}(n-1,n)
\end{aligned}

6.4.2 JLTモデル

 格付遷移が斉時的なMarkov連鎖に従うとして、それは実確率であるため、リスク中立確率P^{*}への調整を行う必要がある。
 いま時点tでの格付がjであるような満期がT\gt tの割引社債の価格を\nu_j(t,T)だとする。この社債のデフォルト時点を\tau_jとするとき、


\begin{aligned}
\nu_j(t,T)=\nu_0(t,T)[\delta_j+(1-\delta_j)P_t^{*}(\{\tau_j\gt T\})], t\leq T
\end{aligned}

となるモデルをJarrow, Lando and Turnbullモデル(JLTモデル)という。ただし\nu_0(t,T)を信用リスクのない割引債の価格、\delta_{j}は確定的な回収率(デフォルトした際に回収できる金額の額面に対する割合)、P_t^{*}tまでの情報が与えられたときの条件付確率で、格付遷移と金利動向は独立であるとする。
 この式における生存確率P_t^{*}(\{\tau_j\gt T\})を求めるために、リスク中立確率P^*の下での格付遷移は非斉時的Markov連鎖X_t^{*}に従うとする。その推移確率を


\begin{aligned}
q_{ij}^*(m,n)=P^{*}(\{X_n^{*}=j|X_m^{*}=i\}), m\lt n
\end{aligned}

とすると、


\begin{aligned}
q_{ij}^*(t,t+1)=\pi_{ij}(t)p_{ij}
\end{aligned}

が成り立つ。このときの\pi_{ij}(t)はリスク・プレミアム調整率と呼ばれる。
 \pi_{ij}(t)はたとえば、


\begin{aligned}
\pi_{ij}(t)=l_{i}(t)、j\neq m+1
\end{aligned}

と仮定し、理論価格が現在の市場価格と整合的になるようにl_{i}(t)を決定する。このとき、


{\displaystyle 
\begin{eqnarray}
 q_{ij}^{*}(t,t+1)= \left\{
    \begin{array}{l}
      = l_{i}(t)p_{ij}, \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ j\neq m+1\\
      = 1-l_{i}(t)(1-p_{i,m+1}), \ \ \ \ j=m+1
    \end{array}
  \right.
\end{eqnarray}
}

が成り立つ。社債の価格式から


\begin{aligned}
P_t^{*}(\{\tau_j\leq T\})=\frac{\nu_j(t,T)-\nu_0(t,T)}{(1-\delta_j)\nu_0(t,T)}
\end{aligned}

が成り立つ。特にT=1のとき


\begin{aligned}
P_t^{*}(\{\tau_j=1\})=1-l_j(0)(1-p_{j,m+1})
\end{aligned}

であるから、


\begin{aligned}
l_j(0)=\displaystyle{\frac{\nu_{j}(0,1)-\delta_{j}\nu_{0}(0,1)}{(1-p_{j,m+1})(1-\delta_j)\nu_{0}(0,1)}}
\end{aligned}

が得られる。
 いま(t-1)以下のすべてのリスク・プレミアム調整率l_{i}(n)が計算されている場合、


\begin{aligned}
P_{0}^{*}(\{\tau_j\gt t+1\})&=1-q_{j,m+1}^{*}(0,t+1)\\
&=1-\sum_{k}q_{jk}^{*}(0,t)q_{k,m+1}^{*}(t,t,+1)
\end{aligned}

が成り立つ。したがって


\begin{aligned}
P_{0}^{*}(\{\tau_j\gt t+1\})=\sum_{k=1}^{m}q_{jk}^{*}(0,t)(1-q_{k,m+1}^{*}(t,t+1))
\end{aligned}

が成立する。推移確率q_{jk}^{*}(0,t)は推移確率行列の逆行列における該当成分をq_{jk}^{-1}(0,t)と書けば


\begin{aligned}
l_j(t)(1-p_{j,m+1})=\sum_{k}q_{jk}^{-1}(0,t)P_{0}^{*}(\{\tau_j\gt t+1\})
\end{aligned}

が得られる。したがって


\begin{aligned}
l_j(t)=\displaystyle{\frac{1}{1-p_{j,m+1}}\sum_{k=1}^{m}q_{jk}^{-1}(0,t)\frac{\nu_{k}(0,t+1)-\delta_{j}\nu_{0}(0,t+1)}{(1-\delta_j)\nu_{0}(0,t+1)} }
\end{aligned}

である。

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