業務でC#を用いることになったので、最近勉強していなくて朧気になってきた知識をReviseする意味でも、以下の書籍を読みながらC#で実装してみる。統計学については別書で触れたいため大幅にカットします。今回はP.180-182まで(当分は実装なしが続きます)。
6. 確率過程の基礎
6.4 推移確率
6.4.1 非斉時的Markov連鎖
非斉時的なMarkov連鎖のステップ遷移確率を
と書くと、
したがって
6.4.2 JLTモデル
格付遷移が斉時的なMarkov連鎖に従うとして、それは実確率であるため、リスク中立確率への調整を行う必要がある。
いま時点での格付がであるような満期がの割引社債の価格をだとする。この社債のデフォルト時点をとするとき、
となるモデルをJarrow, Lando and Turnbullモデル(JLTモデル)という。ただしを信用リスクのない割引債の価格、は確定的な回収率(デフォルトした際に回収できる金額の額面に対する割合)、はまでの情報が与えられたときの条件付確率で、格付遷移と金利動向は独立であるとする。
この式における生存確率を求めるために、リスク中立確率の下での格付遷移は非斉時的Markov連鎖に従うとする。その推移確率を
とすると、
が成り立つ。このときのはリスク・プレミアム調整率と呼ばれる。
はたとえば、
と仮定し、理論価格が現在の市場価格と整合的になるようにを決定する。このとき、
が成り立つ。社債の価格式から
が成り立つ。特にのとき
であるから、
が得られる。
いま以下のすべてのリスク・プレミアム調整率が計算されている場合、
が成り立つ。したがって
が成立する。推移確率は推移確率行列の逆行列における該当成分をと書けば
が得られる。したがって
である。