「大人の教養・知識・気付き」を伸ばすブログ

一流の大人(ビジネスマン、政治家、リーダー…)として知っておきたい、教養・社会動向を意外なところから取り上げ学ぶことで“気付く力”を伸ばすブログです。データ分析・語学に力点を置いています。 →現在、コンサルタントの雛になるべく、少しずつ勉強中です(※2024年1月21日改訂)。

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今日のニュース(2020年7月26日)

1.今日のポイント

【食肉】「肉」が食卓から消える日

【英国】ヘンリー王子はなぜカナダに移住したのか

パキスタン中国による水力発電所建設計画に現地民が反対

【日本】テレビ朝日労働組合民放労連を脱退へ

2. マーケット指標

指数 前日終値 増減値 増減率 日付
日本
日経平均
22,751.61
▲132.61
▲0.581%
22日終値
TOPIX
1,572.96
▲9.78
▲0.62%
22日終値
JASDAQ
164.32
0.58
0.35%
22日終値
東証マザーズ
1,012.60
▲2.31
▲0.23%
22日終値
日本国債10年物
0.020
0.004
25.00%
22日終値
米国
ダウ平均
26,469.89
▲182.44
▲0.687%
24日終値
S&P500
3,215.63
▲20.03
▲0.621%
24日終値
NASDAQ
10,363.18
▲98.24
▲0.94%
24日終値
SOX指数
2,038.71
▲32.26
▲1.57%
24日終値
米国債10年物
0.587
0.005
0.89%
24日終値
欧州・アジア
英FTSE100
6,123.82
▲87.58
▲1.42%
24日終値
DAX
12,838.06
▲265.33
▲2.05%
24日終値
上海総合指数
3,196.77
▲128.34
▲3.94%
24日終値
印SENSEX30
38,128.9
▲11.57
▲0.0303%
24日終値
外国為替
USDJPY
106.14
▲0.71
▲0.66%
24日終値
EURJPY
123.71
▲0.17
▲0.14%
24日終値
EURUSD
1.1656 +0.0062 +0.53%
0.0003
0.0232%
24日終値
コモディティ・その他
原油先物(WTI)
41.34
0.27
0.66%
24日終値
原油先物(Brent)
43.34
0.03
0.07%
24日終値
金先物(COMEX)
1,899.95
9.95
0.53%
24日終値
先物(COMEX)
2.8940
▲0.0445
▲1.51%
24日終値
BTCJPY(bitFlyer)
1,029,378
7,479
0.73%
26日 06:26:49

3. ニュース(1):「肉」が食卓から消える日

www.telegraph.co.uk

  • 食肉の大量生産が動物から人体への感染症の罹患を誘発している可能性がある
  • その可能性を受けて現代の肉食の是非についての議論が活発化している

(1) 知っておきたいこと

 ここ数年、薬剤耐性細菌が話題をさらってきた。ドイツが議長国を務めた2017年のG20ではメルケル首相が事前の根回しもなく突如としてこれをアジェンダに盛り込んだということで米国の大手製薬企業の幹部も驚きを禁じ得なかったという事態が生じたと聞いたことがある。実はペニシリンが発見された当初から、薬剤耐性菌の発生は予期されていた*1
 しかしこれよりも陽が当たらない上に厄介なのが、実は家畜の薬剤耐性菌なのである。家畜における薬剤耐性菌の問題については何と50年以上前の1968年時点でその問題が指摘されてきたのである。当時の英国で組織されたSwann委員会はこう言った趣旨の報告書をまとめている*2

報告書は、家畜への抗生物質の投与、特に治療用薬量以下の投与は人及び動物の健康維持に何らかの危険性があると結論し、現状のまま放置しておくべきでないと勧告しています。その理由としては、家畜への成長促進やその他の目的で抗生物質の使用が原因として、伝達性耐性を含む多剤耐性菌が増加したことを上げています。また、すでに生肉や肉製品を介して動物由来腸内細菌が人に伝播したことを示唆する多くの成績があるとしています。(…中略…)さらに、動物由来多剤耐性大腸菌を摂取した人の腸管内で、耐性遺伝子が腸管内の正常細菌叢の細菌に伝達される可能性まで指摘しているのです。一方、この報告書は耐性菌問題だけでなく、畜産物中の残留抗生物質の危険性にまで言及していることにも特徴があります。(…中略…)成長促進用抗生物質の使用による医薬用抗生物質に対する耐性菌の出現増加の助長は、公衆衛生上または動物の健康維持の両面から好ましくないので、経済上の理由で使用すべきでないし、その必要性もないと断言しています。

50年前ですらこのような意識が英国にはあったのだが、残念ながら抗生物質の使用が是正されることはなかった。それはビジネスとして生活を切り盛りするために必須であったという事情があるのだろうが、もはやそれを切り捨てざるを得ないのかもしれない。


図表1 世界の食肉需要
f:id:suguru_125:20200726064314g:plain
(出典:農林水産省*3

 新興国需要が増大しているため、世界の食肉需要は増大していくと考えられている。しかし、今や人口は100年スパンでは将来に向けて減少していくとの予測が主流になりつつあるのであって、こうした予測は徐々に修正されていくと考えた方がよい。また豚インフルエンザの大流行などの問題が起きている中で、更に抗生物質利用に見直しが入るのは避けられない。更に言えば、アンガス牛が日本でブームになってきたことが示すように、サシがたくさん入った脂身たっぷりの肉というのは健康志向が高まる中でもはや珍重されなくなっているのである。これまでの大量食肉生産モデル、すなわち狭い牧舎で穀物を中心とした薬剤の混ざった飼料を与えられて肥育するという生産方式は不要となってきているのだ。
 ただでさえ穀物価格も乱高下する中で、現在の食肉に替えて、代替肉・培養肉が席巻するのも非現実的とは言い難い。

(2) まとめ

  • これまでの大量飼育方式はとうに限界を迎えている
  • 代替肉・培養肉による置き換えが進み、逆に自然に放牧した赤身肉が高級肉として珍重されていくと考える

4. ニュース(2):ヘンリー王子はなぜカナダに移住したのか

this.kiji.is

  • ヘンリー王子とメーガン妃が3月末に王室公務から引退するまでの内幕を記した未発売前の書籍の内容が報じられた
  • 夫妻を快く思わない侍従らがいた王室で2人が孤立していったうえ、兄との確執もあったという

(1) 知っておきたいこと

 現在ヘンリー王子夫妻はカナダに居を構えている。カナダと言えばトルドー首相が首長を務めている一方で、英連邦に属することもあり、英国が総督を派遣している。その総督の役割が重いことを在日カナダ大使館はこう説明している*4

総督は、首相、最高裁判所長官、閣僚の宣誓就任式を主宰します。総督の最も重要な責任のひとつは、カナダに首相が在任し、政府が機能している状態を常に維持することです。首相が死亡した場合、政府を確実に継続させることは総督の責任になります。

総督は、議会において重要な責任を負っています。カナダの議会は、下院、上院、総督の3要素により構成されています。総督は議会を召集し、議会開会演説を述べる(首相の代読)ことによって今後の政府の活動を説明し、法案を法律にするための女王の裁可を与えます。

総督は、公式文書に署名し、首相や政府高官と定期的に会談します。総督は、助言、奨励、警告する権利を有します。

総督はカナダ軍の最高司令官であり、その資格において国内外の軍事基地やカナダ平和維持部隊を訪問して、カナダの軍人を激励し、栄誉を授けます。

総督は、カナダを訪問する王室関係者や国家元首などの賓客を迎えます。また、カナダにおいてそれぞれの国を代表する大使が着任する際には、信任状を受け取ります。外国への公式訪問に当たっては、カナダの広範な利害、業績、専門知識を反映する代表団を率います。

これだけ見ても、国家元首の代行とでも言うべき総督の役割が如何に重いかは明らかである。別の視点から言えば、それだけ英連邦で総督のいる場所、すなわちカナダは英国にとって重要な場所なのである。そこに英王室の一族がいるということの意味を考える必要がある。
 実際には我が国で南北朝に分かれたように、王室内でのスキャンダルに近い対立があったにしても、逆に王統が分かれるということは正統性が争われる一方で、血統の保存という観点からはリスクヘッジとしてなすべきことでもあるのである。BREXITをはじめとして英国が崩壊をはじめ、また過去に触れたようにそもそもエリザベス女王の正統性すら現在揺らいでいる中で、その一族がヘッジをすべく連邦に逃れたという見方も可能なのである。

(2) まとめ

  • ヘンリー王子夫妻の住むカナダは英連邦にとって非常に特殊かつ重要な場所である
  • そこに英王室の一族がいるのは王統の維持・保存という意味では意義のあることである

5. ニュース(3):中国による水力発電所建設計画にパキスタンの現地民が反対

www.dw.com

(1) 知っておきたいこと

 パキスタンを流れる主要河川はたいていインドから流れてきており、その治水問題はインドとの対立をもたらし得る重要な問題である。したがってパキスタンからしてみれば、ここに中国(企業)を巻き込むことは安全保障上、賢い方策であると言える。また中国にしても中国パキスタン経済回廊(CEPC)の開発を通じて中国からインドを経由せずに中東へと抜けるルートを開通するように動いてきた。


図表2 パキスタンを流れる主要河川
f:id:suguru_125:20200726074909j:plain
(出典:Al Jazeera*5

 古典地政学の理論として「隣国は敵対しあう宿命にある」および「敵の敵は味方」という概念がある。これらを踏まえると、パキスタンと中国の関係は危ういものとなる。今や中国はパキスタンにとってみれば債務国であり中国は優位にある一方で、いずれもインドが敵となる。その足並みがズレてきているのは、中国の友人が更に消えていく事態になるのだろう。

(2) まとめ

  • パキスタンの治水問題は必然的にインドに影響を与え得る
  • 中パ関係の混乱は中国を更に追い込むこととなる

6. ニュース(4):テレビ朝日労働組合民放労連を脱退へ

www.sankei.com

(1) 知っておきたいこと

 テレビ会社の苦境はもう繰り返し言われてきていることではあるが、実態はどうなのだろうか。キー局の直近期売上・利益を各社のセグメントごとにまとめるとこうなる*6

(a) 日本テレビ日本テレビホールディングス株式会社)

セグメント名
セグメント売上高
セグメント利益
備考
メディア・コンテンツ事業
384,220(89%)
40,610(94%)
テレビ広告枠の販売、有料放送事業、動外配信事業、映像配信ソリューション事業、映像・音楽等のロイヤリティ収入、パッケージメディア等の販売、通信販売、映画事業、イベント・美術展事業、コンテンツ制作受託、テーマパークの企画・運営
生活・健康関連事業
35,905(8%)
▲686(▲2%)
総合スポーツクラブ事業
不動産賃貸事業
10,281(2%)
3,446(8%)
不動産の賃貸、ビルマネジメント
合計
430,407
43,370
-

(b) TBS(株式会社東京放送ホールディングス

セグメント名
セグメント売上高
セグメント利益
備考
メディア・コンテンツ事業
270,265(76%)
2,409(18%)
テレビ・ラジオの放送事業及び関連事業、各種催物、ビデオソフト等の企画・制作等
ライフスタイル事業
70,007(20%)
2,751(21%)
雑貨小売、化粧品製造販売、通信販売等
不動産・その他事業
16,523(5%)
7,942(61%)
土地及び建物の賃貸等
合計
356,796
13,103
-

(c) フジテレビ(株式会社フジ・メディア・ホールディングス

セグメント名
セグメント売上高
セグメント利益
備考
メディア・コンテンツ事業
515,334(82%)
13,924(53%)
テレビ放送、ラジオ放送、放送番組の制作等、映像・音楽ソフトの販売等、音楽出版等、通信販売、広告、雑誌書籍の出版、新聞発行
都市開発・観光事業
110,749(18%)
13,706(52%)
ビル賃貸・不動産取引、イベント・内装、ビルマネジメント等、ホテルリゾート運営
その他事業
19,335(3%)
595(2%)
動産リース・商品販売等、ソフトウェア開発、レストラン・売店、その他
合計
631,482
26,341
-

(d) テレビ朝日テレビ朝日ホールディングス

セグメント名
セグメント売上高
セグメント利益
備考
テレビ放送事業
239,283(78%)
7,000(55%)
テレビ番組の制作および放送に係る事業
音楽出版事業
9,867(3%)
1,018(8%)
音楽著作権著作隣接権の管理事業、レコード事業、アーティストマネジメント事業
その他事業
58,388(19%)
4,598(36%)
テレビ番組を中心としたコンテンツから派生、テレビ放送と連携する事業
合計
307,539
12,617
-

(e) テレビ東京テレビ東京ホールディングス

セグメント名
セグメント売上高
セグメント利益
備考
地上波放送事業
111,394(64%)
4,995(55%)
テレビ番組の制作・放送及び地上波テレビ広告の放送、また放送番組の周辺権利を利用した事業
放送周辺事業
31,995(18%)
2,517(28%)
放送番組の企画制作・技術・中継、音楽関連、通信販売などの事業
BS放送事業
16,388(9%)
1,289(14%)
BSテレビ広告の放送、またBS放送番組の周辺権利を利用した事業
コミュニケーション事業
4,809(3%)
304(3%)
インターネット・モバイル向け映像コンテンツ等の配信・提供などの事業
合計
174,587
9,106
-

 TBSが突出して不動産業から利益を得ている一方で、その他はテレビ放送に大きく依存した事業を展開していることが分かる。その意味ではTBSを除くと事業リスクがテレビ産業に偏っている。また利益率で言えば日本テレビだけが10%弱あるのに対してその他は大体4~6%程度であり、端的に言えばあまり儲かっていない。直近期だけではあるが、確かにテレビ業界は儲かっていない。となれば、このトレンドが続くのは言うまでもないだろう。
 他方でこれは今後詳細を調べる必要があるが、今回の脱退理由として、テレビ朝日労働組合と連合会の方針がズレていることが上がっている。これはどういった意味であろうか。そもそも各社の労働組合、更には日本民間放送労働組合連合会は機能しているのか。直近には報道ステーションの派遣切り騒動に関して、テレビ朝日日本民間放送労働組合連合会が対立したことがあった:

www.excite.co.jp

ただでさえ日本のマスメディアはさまざまな点で問題を抱えてきた中で、経営陣と被雇用者の関係、編集権と経営の関係がますます流動化していくのは必至である。

(2) まとめ

  • 各社ともテレビ放送事業にリスクが集中している
  • 経営問題だけでなく報道を扱う会社として労使問題ならびに経営および編集権の関係は大きく変化せざるを得ない
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