- 1.今日のポイント
- 2. マーケット指標
- 3. ニュース(1):「日本製エンジン」という悲願は達成できるのか?
- 4. ニュース(2):ドイツが宇宙ステーション計画に向けて新計画発案
- 5. ニュース(3):中国で核技術の「頭脳流出」が発生
- 6. ニュース(4):復興利権
1.今日のポイント
【英国】ロールスロイスがエンジン部門の一部を売却へ
【ドイツ】ドイツが宇宙ステーション計画に向けて新計画発案
【中国】核技術の「頭脳流出」が発生
【日本】復興予算が建設の裏金に流れている
2. マーケット指標
指数 | 前日終値 | 増減値 | 増減率 | 日付 |
---|---|---|---|---|
日本 | ||||
日経平均 | 22,751.61 |
▲132.61 |
▲0.581% |
22日終値 |
TOPIX | 1,572.96 |
▲9.78 |
▲0.62% |
22日終値 |
JASDAQ | 164.32 |
0.58 |
0.35% |
22日終値 |
東証マザーズ | 1,012.60 |
▲2.31 |
▲0.23% |
22日終値 |
日本国債10年物 | 0.020 |
0.004 |
25.00% |
22日終値 |
米国 | ||||
ダウ平均 | 26,469.89 |
▲182.44 |
▲0.687% |
24日終値 |
S&P500 | 3,215.63 |
▲20.03 |
▲0.621% |
24日終値 |
NASDAQ | 10,363.18 |
▲98.24 |
▲0.94% |
24日終値 |
SOX指数 | 2,038.71 |
▲32.26 |
▲1.57% |
24日終値 |
米国債10年物 | 0.587 |
0.005 |
0.89% |
24日終値 |
欧州・アジア | ||||
英FTSE100 | 6,123.82 |
▲87.58 |
▲1.42% |
24日終値 |
独DAX | 12,838.06 |
▲265.33 |
▲2.05% |
24日終値 |
上海総合指数 | 3,196.77 |
▲128.34 |
▲3.94% |
24日終値 |
印SENSEX30 | 38,128.9 |
▲11.57 |
▲0.0303% |
24日終値 |
外国為替 | ||||
USDJPY | 106.14 |
▲0.71 |
▲0.66% |
24日終値 |
EURJPY | 123.71 |
▲0.17 |
▲0.14% |
24日終値 |
EURUSD | 1.1656 +0.0062 +0.53% |
0.0003 |
0.0232% |
24日終値 |
コモディティ・その他 | ||||
原油先物(WTI) | 41.34 |
0.27 |
0.66% |
24日終値 |
原油先物(Brent) | 43.34 |
0.03 |
0.07% |
24日終値 |
金先物(COMEX) | 1,899.95 |
9.95 |
0.53% |
24日終値 |
銅先物(COMEX) | 2.8940 |
▲0.0445 |
▲1.51% |
24日終値 |
BTCJPY(bitFlyer) | 1,050,328 |
20,321 |
1.97% |
27日 06:35:15 |
3. ニュース(1):「日本製エンジン」という悲願は達成できるのか?
- 英ロールスロイスがインダストリア・デ・ターボ・プロパルゾレスとの合弁会社であるITP Aeroの持分を売却することを準備中である
- Covid-19を受けた資金繰りのために投資ファンドに急遽売却する予定であるという
(1) 知っておきたいこと
航空機エンジン・マーケットはGE、プラット・アンド・ホイットニー(P&W)、そしてロールスロイスの3社で70%近くのシェアを有する寡占マーケットである*1。実際にはそれらだけで製造することは不可能なので、そのさまざまな工程にさまざまな企業が関わっておりIHIや川崎重工業、そして三菱重工航空エンジンといった日本企業も関係してきた。とはいえ、総体的には米英の二極体制となってきた。それが投資ファンドに売却するということになれば、資金さえ払えば再売却先が米英企業とは別になる可能性も否定できなくなる。もっともそうした体制を崩壊させるような企業を売却するようなことはないだろう。
それよりも今回の売却で焦点となっているのが、今回売却されるITP AeroがEurofighterの部品を製造しているという点である。Eurofighterは英独伊西の4か国が共同で生産したものであっただけに、それが売却されることのインパクトに注目しておきたい。
(2) まとめ
- 航空機エンジン市場は米英の寡占状態にある
- 今回の企業売却でどこの国の投資ファンドが買うのか、そのExit先が何処になるのかに注目したい
4. ニュース(2):ドイツが宇宙ステーション計画に向けて新計画発案
- ドイツ産業連合(BDI)がロケット発射場計画の詳細を連邦経済エネルギー省へ提案した
- この計画をきっかけに最終的に欧州の宇宙開発技術を米国の水準へと追い付かせることを思案している
(1) 知っておきたいこと
ソ連および米国のロケット技術はいずれもドイツの技術を基にしている*2。第二次世界大戦後のドイツから技術者を大量に移植し研究させたり、研究結果を押収したりすることで両国の技術は飛躍的な発展を遂げたのである。それに簡単に追いつくのは難しいとはいえ、ドイツがこの産業に今以上に関わることが少なくないインパクトを与えうると考えている。
他方でこれで興味深いのが、この計画を通じてスタートアップを中心に裨益させるとしている点である。大企業が旗振りするのではなく、そうした企業が積極的に関与するのだという。新たな雇用創出という意味でも、また欧州の宇宙技術推進という意味でも、ドイツだけでなく他の欧州がこれに協力するのかに注目したい
(2) まとめ
- 現在のロケット技術の礎を築いてきたのはドイツである
- ドイツだけでなく欧州各国が更なる宇宙開発を強固に推進するのかがカギである
5. ニュース(3):中国で核技術の「頭脳流出」が発生
- 6月、中国の中国科学院合肥物質科学研究院に所属する「原子力安全技術研究所」から技術者90名が集団離職した
- その結果、同研究所の所属技術者は100名近くに減少し、中国科学院が事態把握のために調査チームを組織している
(1) 知っておきたいこと
今、中東で原発ラッシュが起きている。年内には韓国製の原発がアラブ首長国連邦で稼働することとなっている。またロシアがトルコやヨルダン、エジプト、サウジアラビアでの原発開発を推進しているという。
こうした中、香港メディアのAsia Timesが興味深い特集を不定期ではあるが、たびたび掲げている:
あらたなエネルギー源として常温核融合(cold fusion)が注目されている。30年前に初めて確認されて以降、眉唾物であるとして学会から追放されたこの技術が取り沙汰されているのである*3。そうした中でどうも既存の原発施設を中東などの新たな市場で建設し、先進国ではこうした常温核融合などのエネルギーへと転換するという筋道が立っているような気がする。
そうした中で、どちらの面でも今回の離職は中国にとってダメージである。彼らが離職した理由が何なのか、また彼らがどこへ再就職する(した)のか。中国科学院が調査チームを組織している以上、中国政府の意図的な離職措置であるとは考えづらい。これがどのような事情を抱えているのか注意したい。
(2) まとめ
- 中東で原発製造が拡大している
- 中国がそのマーケットでプレゼンスを発揮できるのかに注目したい
6. ニュース(4):復興利権
- 東日本大震災の復興事業において複数の下請け企業が大手ゼネコンへの接待をすべく不正経理による裏金作りを行っていた
- その総額は少なくとも1億6,000万円にのぼり、その原資はすべて復興増税などで得た国費である
(1) 知っておきたいこと
今回の報道では、清水建設に安藤ハザマ、鹿島と大成建設が接待を受けてきたことが判明したという。たとえば鹿島建設が実態把握のために下請け企業にヒアリングした結果、このようなことがあったという*4:
高級クラブで飲んでいる(註:鹿島建設東北)支店幹部に呼び出され、1回100万円以上の飲み代を支払わされた。幹部は席で1本数十万円する高級ワインを何本も頼むことがあった。
伝統的に建設業は水増しなどのこのような不正がなされてきたが、未だに、そして復興事業においてなされているという事実がある以上、復興事業への税投入に陰りが生じるリスクがあることを考えなければならない。そもそも復興事業でどれだけ東北は裨益しているのだろうか。こうした事態への鬱屈から、東北民のトリチウム汚染水の海洋廃棄問題への風当たりはさらに強くなりそうだ。
(2) まとめ
- 建設業界によるこうした不正は今後も続く
- それが東北民の反発を更に強めていくのは必至だ