ファイナンスのために基礎から
を基に確率過程を学んでいきます。
5. ブラウン運動とマルチンゲール
5.3 伊藤の公式
運動の差分の性質 を運動とし、とおく。このとき
が成り立つ。
と定義すると、すべてのに対しては互いに独立かつ標準正規分布に従う。したがって
である。 )
これを
と書き、更にこれらの微分形として
とも書く。
例:
が成り立つ。実際、として
である。
またをそれぞれ独立な運動とすれば、
であり、とおけば
を得、これにより
である。これを用いることで
が得られる。特にであれば、
である。
同様に
を示すことができる。これは、
の両辺をに対して総和を取った上で極限を取ると
を得る。これの微分形は
と書くことができる。また
であるから、である。また
であることに注意する。
伊藤の公式 を運動とする。このとき
が成り立つ。
例
- として伊藤の公式を適用することで、
伊藤の公式は連続時間に対しても-分解を与える:
である。