「大人の教養・知識・気付き」を伸ばすブログ

※今月(8月)は一部コンテンツを隔週更新にします(夏休みです…)。 一流の大人(ビジネスマン、政治家、リーダー…)として知っておきたい、教養・社会動向を意外なところから取り上げ学ぶことで“気付く力”を伸ばすブログです。

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長期投資の理論と実践(06/X)

 投資理論を以下の書籍

をベースに学ぶこととする。

4. 平均・分散分析とCAPM

 効用関数とリターンの従う確率分布に制約を加えるならば、期待効用を高めるポートフォリオはリターンの期待値と分散のみによって決定できる。

4.2 無リスク資産の導入

 無リスク資産が導入可能であるとしても、2基金分離など最適ポートフォリオに関するこれまでの重要な分析結果は変わらない。

 無リスク資産の単利ネット表示投資リターン(リスクフリーレート)をr_fとする。n種類のリスク資産の投資リターンベクトルを\tilde{\boldsymbol{r}}、期待リターンベクトルを\boldsymbol{\mu}、分散共分散行列を\Omegaとする。



 リスクフリーレートを表す点は期待リターンを表す縦軸上に位置する。最小分散フロンティアは2つの半直線から構成され、リスク資産のみから構成される投資機会集合を表す双曲線への接線と、\boldsymbol{\omega}_Tと実現した接点に位置するポートフォリオ空売りし無リスク資産へ投資することによって得られる下方へ延びている直線の合計2本である。



\begin{aligned}
\mu_P&=\pm H\sigma_P+r_f,\ H=\sqrt{Cr_f^2-2A r_f+B},\\
A&{}^{t}\boldsymbol{1}\Omega^{-1}\boldsymbol{\mu},B={}^{t}\boldsymbol{\mu}\Omega^{-1}\boldsymbol{\mu},C={}^{t}\boldsymbol{1}\Omega^{-1}\boldsymbol{1}
\end{aligned}


が最小分散フロンティアを表し、そのうち



\begin{aligned}
\mu_P=H\sigma_P+r_f,\ H=\sqrt{Cr_f^2-2A r_f+B}
\end{aligned}


が効率的フロンティアを表す。
 接点ポートフォリオ



\begin{aligned}
\begin{cases}
\mu_P&=H\sigma_P+r_f\\
\sigma_P^2&=\displaystyle{\frac{C\mu_P^2-2A\mu_P+B}{D}}
\end{cases}
\end{aligned}


を解けばよく、前者を後者に代入することで、D=BC-A^2に注意して



\begin{aligned}
\ &(BC-A^2)\sigma_P^2=C(H\sigma_P+r_f)^2-2A(H\sigma+r_f)+B\\
\Leftrightarrow&\{CH^2-(BC-A^2)\}\sigma_P^2+2H(Cr_f-A)\sigma_P+(Cr_f^2-2Ar_f+B)=0\\
\Leftrightarrow&\{CH^2-(BC-A^2)\}\sigma_P^2+2H(Cr_f-A)\sigma_P+H^2=0\\
\Leftrightarrow&(Cr_f-A)^2\sigma_P^2+2H(Cr_f-A)\sigma_P+H^2=0\\
\Leftrightarrow&\{(A-Cr_f)\sigma_P-H\}^2=0\\
\Leftrightarrow&\sigma_P=\displaystyle{\frac{H}{A-Cr_f}}
\end{aligned}

を得、またこれを第1式に代入して



\begin{aligned}
\mu_P=\displaystyle{\frac{B-Ar_f}{A-Cr_f}}
\end{aligned}

である。更に接点ポートフォリオ\boldsymbol{\omega}_T



\begin{aligned}
\boldsymbol{\omega}_T=\sqrt{\displaystyle{\frac{C\sigma_P^2-1}{D}}}\Omega^{-1}\boldsymbol{\mu}+\displaystyle{\frac{1}{C}}\left(1-A\sqrt{\displaystyle{\frac{C\sigma_P^2-1}{D}}}\right)\Omega^{-1}\boldsymbol{1}
\end{aligned}

で、


\begin{aligned}
\sqrt{\displaystyle{\frac{C\sigma_P^2-1}{D}}}&=\sqrt{\displaystyle{\frac{1}{BC-A^2}\left\{C\cdot\displaystyle{\frac{H^2}{(A-Cr_f)^2}-1}\right\}}}\\
&=\sqrt{\displaystyle{\frac{1}{BC-A^2}\left\{\displaystyle{\frac{(C^2r_f^2-2ACr_f+BC)-(A-Cr_f)^2}{(A-Cr_f)^2}}\right\}}}\\
&=\sqrt{\displaystyle{\frac{1}{BC-A^2}\left\{\displaystyle{\frac{BC-A^2}{(A-Cr_f)^2}}\right\}}}\\
&=\displaystyle{\frac{1}{A-Cr_f}}
\end{aligned}


に注意すれば、



\begin{aligned}
\boldsymbol{\omega}_T=\displaystyle{\frac{1}{A-Cr_f}}\Omega^{-1}\boldsymbol{\mu}-\displaystyle{\frac{r_f}{A-Cr_f}}\Omega^{-1}\boldsymbol{1}
\end{aligned}


を得る。
 無リスク資産が存在する場合の最小分散フロンティアは、無リスク資産が存在しない場合と同様に、任意の2つの最小分散ポートフォリオの加重和で合成できる、すなわち2基金分離が成立する。

4.2.1 証券市場線の導出準備

 接点ポートフォリオ\boldsymbol{\omega}_Tを用いると、任意のリスク資産(またはポートフォリオ)について、リスクとリターンが線形関係になるようなリスク指標を導出できる。
 任意のリスク資産i,i=1,\cdots,nと接点ポートフォリオ\boldsymbol{\omega}_Tの共分散は、i番目の成分のみ1でそれ以外が0であるようなウェイトを\boldsymbol{\omega}_{(i)}={}^{t}(0,\cdots,0,1,0,\cdots,0)とすれば*1



\begin{aligned}
\mathrm{Cov}\left[\tilde{r}_i,\tilde{r}_T\right]&={}^{t}\boldsymbol{\omega}\Omega\boldsymbol{\omega}_T\\
&={}^{t}(0,\cdots,0,1,0,\cdots,0)\Omega\left(\displaystyle{\frac{1}{A-Cr_f}}\Omega^{-1}\boldsymbol{\mu}-\displaystyle{\frac{r_f}{A-Cr_f}}\Omega^{-1}\boldsymbol{1}\right)\\
&=\displaystyle{\frac{1}{A-Cr_f}}\mu_i-\displaystyle{\frac{r_f}{A-Cr_f}}1\\
&=\displaystyle{\frac{\mu_i-r_f}{A-Cr_f}}
\end{aligned}


である。ここで接点ポートフォリオの分散



\begin{aligned}
V[\tilde{r}_T]=\displaystyle{\frac{H^2}{(A-Cr_f)^2}}
\end{aligned}


とし、これで共分散を除することで


\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{\mathrm{Cov}\left[\tilde{r}_i,\tilde{r}_T\right]}{V[\tilde{r}_T]}}&=\displaystyle{\frac{\mu_i-r_f}{A-Cr_f}\frac{(A-Cr_f)^2}{H^2}}\\
&=(\mu_i-r_f)\displaystyle{\frac{A-Cr_f}{H^2}}
\end{aligned}


であり、



\begin{aligned}
\mu_i-r_f=\displaystyle{\frac{\mathrm{Cov}\left[\tilde{r}_i,\tilde{r}_T\right]}{V[\tilde{r}_T]}}\cdot\displaystyle{\frac{H^2}{A-Cr_f}}
\end{aligned}


を得、さらに



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{H^2}{A-Cr_f}}=\displaystyle{\frac{Cr_f^2-2Ar_f+B}{A-Cr_f}}=\displaystyle{\frac{B-Ar_f}{A-Cr_f}}-r_f=\mu_T-r_f
\end{aligned}


であるから、これを代入することで



\begin{aligned}
\mu_i-r_f=\displaystyle{\frac{\mathrm{Cov}\left[\tilde{r}_i,\tilde{r}_T\right]}{V[\tilde{r}_T]}}(\mu_T-r_f)
\end{aligned}


と表される。\beta_i^{T}=\displaystyle{\frac{\mathrm{Cov}\left[\tilde{r}_i,\tilde{r}_T\right]}{V[\tilde{r}_T]}}とおけば、



\begin{aligned}
\mu_i-r_f=\beta_i^{T}(\mu_T-r_f)
\end{aligned}


を導くことができる。この式は接点ポートフォリオを用いて定義した定数\beta_i^{T}に対して、任意のリスク資産iの期待超過リターンが線形になることを示している。\beta_i^{T}はベータと呼ばれるものである。この線形関係は、接点ポートフォリオに限らず、任意の最小分散ポートフォリオによって定義されるベータと期待超過リターンについて成立する。
 接点ポートフォリオが市場ポートフォリオであると示すことができれば、この式は標準的な\mathrm{CAPM}の評価式に等しく、この場合にこの式を証券市場線と呼ぶ。そのためには市場均衡の議論が必要になる。

今回のまとめ

  • 無リスク資産が導入可能であるとしても、2基金分離など最適ポートフォリオに関するこれまでの重要な分析結果は変わらない。
  • 接点ポートフォリオ\sigma-\mu空間において(\sigma_P,\mu_P)=\left(\displaystyle{\frac{H}{A-Cr_f}},\displaystyle{\frac{B-Ar_f}{A-Cr_f}}\right)で表され、\boldsymbol{\omega}_T=\displaystyle{\frac{1}{A-Cr_f}}\Omega^{-1}\boldsymbol{\mu}-\displaystyle{\frac{r_f}{A-Cr_f}}\Omega^{-1}\boldsymbol{1}で得られる。
  • 接点ポートフォリオを用いると、\mu_i-r_f=\beta_i^{T}(\mu_T-r_f)という接点ポートフォリオを用いて定義した定数\beta_i^{T}に対して任意のリスク資産iの期待超過リターンが線形になることを示している。

*1:これはリスク資産iのみを有するポートフォリオに相当する。

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