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やりなおしの数学・線形代数篇(20/26)

 定番書

を基に線形代数を学び直していく。

今日のまとめ

5. 固有値固有ベクトル

5.3 二次形式

 変数x_1,\cdots,x_nに関する実係数の斉次二次式*1を二次形式という。すなわちx_{i}x_{j}の係数をa_{ij}\in\mathbb{R}とおけば


\begin{aligned}
F(x_1,\cdots,x_n)=\displaystyle{\sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n}a_{ij}x_{i}x_{j}}
\end{aligned}

と書ける。x_ix_j=x_jx_ia_{ij},i\neq jが一意に定まらないため、a_{ij}=a_{ji}とする。
 係数行列A=(a_{ij})二次形式Fの行列という。Fが斉次多項式であることから、Aは実対称行列、すなわち


\begin{aligned}
A={}^{t}A
\end{aligned}

が成り立つ。


\begin{aligned}
\boldsymbol{x}=\begin{bmatrix}
x_1\\
x_2\\
\ldots\\
x_n
\end{bmatrix}
\end{aligned}

とおけば、


\begin{aligned}
F(\boldsymbol{x})={}^{t}\boldsymbol{x}A\boldsymbol{x}
\end{aligned}

と表される。
 2つの変数ベクトル\boldsymbol{x},\boldsymbol{y}が正則な行列Pによって


\begin{aligned}
\boldsymbol{x}=P\boldsymbol{y}
\end{aligned}

と書けるならば、


\begin{aligned}
G(\boldsymbol{y})=F(\boldsymbol{x})
\end{aligned}

とおくとG(\boldsymbol{y})の二次形式である。


\begin{aligned}
G(\boldsymbol{y})&=F(\boldsymbol{x})={}^{t}\boldsymbol{x}A\boldsymbol{x}={}^{t}\boldsymbol{y}({}^{t}PAP)\boldsymbol{y}
\end{aligned}

が成り立つから、G(\boldsymbol{y})は対称行列[tex:{}^{t}PAPにより定まる二次形式である。
 さて二次形式F(\boldsymbol{x})が与えられたとき、\boldsymbol{y}=P\boldsymbol{x}で表される適当な変数ベクトルを見つけてG(\boldsymbol{y})を可能な限り簡単な二次形式にすることを考える。とくにPが直交行列ならば{}^{t}P=P^{-1}が成り立つから、


二次形式の標準化 二次形式F(\boldsymbol{x})={}^{t}\boldsymbol{x}A\boldsymbol{x}に対して適当な直交行列Pを取って\boldsymbol{y}=P\boldsymbol{x}とすれば

\begin{aligned}
F(\boldsymbol{x})=G(\boldsymbol{y})=\alpha_1y_1^2+\cdots+\alpha_ny_n^2
\end{aligned}

と表現できる。ただし\alpha_1,\cdots,\alpha_nAの重複も込めた固有値である。
 更に


\begin{aligned}
\alpha_1,\cdots,\alpha_p\gt0,\ \alpha_p,\cdots,\alpha_{p+q}\lt0\\
\alpha_{p+q+1}=\cdots=\alpha_n=0
\end{aligned}

となるようにできる、ここでp+qAの階数である。

 また変数の正則線形変換

\begin{aligned}
y_i=\displaystyle{\frac{1}{\sqrt{\alpha_i}}z_i},1\leq i\leq p,\ y_j=\displaystyle{\frac{1}{\sqrt{-\alpha_j}}z_j},\ p+1\leq j\leq p+q
\end{aligned}

を施せば


\begin{aligned}
F(\boldsymbol{x})=H(\boldsymbol{z})=z_1^2+\cdots+z_p^2-z_{p+1}^2-\cdots-z_{p+q}^2
\end{aligned}

となる。これを二次形式F(\boldsymbol{x})の標準形という。
 このとき以下が成り立つ。


Sylvesterの慣性法則 二次形式に対していかなる正則線形変換を施して標準形に移しても正負の項の数p,qは一定である。
(\because 2通りの変数変換

\begin{aligned}
\boldsymbol{x}=P\boldsymbol{y},\ \boldsymbol{x}=Q\boldsymbol{z}
\end{aligned}

によって2通りの標準形


\begin{aligned}
F(\boldsymbol{x})&=G(\boldsymbol{y})=y_1^2+\cdots+y_p^2-y_{p+1}^2-\cdots-y_{p+q}^2\\
&=H(\boldsymbol{z})=z_1^2+\cdots+z_s^2-z_{s+1}^2-\cdots-z_{s+t}^2
\end{aligned}

を得たとする。ここでp+q=s+t=\mathcal{rank}(A)とする。
 p\gt sと仮定する。x_1,\cdots,x_nに関する斉次一次方程式系


\begin{aligned}
y_i&=0,\ i=p+1,p+2,\cdots,n,\\
z_j&=0,\ j=1,2,\cdots,s
\end{aligned}

は自明でない解\alpha_1,\cdots,\alpha_nを持つ。なぜならば仮定より、方程式の個数n-p+sに対してn-p+s\lt nが成り立つ。


\begin{aligned}
P^{-1}=\begin{bmatrix}
a_1\\
a_2\\
\vdots\\
\vdots\\
\vdots\\
\vdots\\
a_n
\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}
b_1\\
b_2\\
\vdots\\
b_p\\
0\\
\vdots\\
0
\end{bmatrix},\ \ Q^{-1}=\begin{bmatrix}
a_1\\
a_2\\
\vdots\\
\vdots\\
\vdots\\
a_n
\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}
0\\
0\\
\vdots\\
c_{s+1}\\
\vdots\\
c_n
\end{bmatrix}
\end{aligned}

の形であるから、


\begin{aligned}
b_1^2+\cdots b_p^2=-c_{s+1}^2-\cdots-c_{n}^2
\end{aligned}

が成り立つ。したがってb_1=b_2=\cdots=b_n=0であり、a_1=a_2=\cdots=a_nが自明な解ではないということに反する。したがってp=2でなければならない。 \blacksquare)

 組(p,q)を二次形式F(\boldsymbol{x})の符号という。[tex:pは実対称行列Aの正の固有値の数、qは負の固有値の数である。
 {}^{\forall}\boldsymbol{x}\neq\boldsymbol{0}に対してF(\boldsymbol{x})\gt0(\geq0)が成り立つとき、二次形式F(\boldsymbol{x})は正値(半正定値)であるという。F(\boldsymbol{x})={}^{t}\boldsymbol{x}A\boldsymbol{x}=(A\boldsymbol{x},\boldsymbol{x})であるから、これは実対称行列Aが正値(半正値)であるということと同値である。それは更にp=n\Leftrightarrow q=0と同値である。

*1:斉次多項式とは非零項の次数が全て同じである多項式を指す。

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