定番書
を基に線形代数を学び直していく。
今日のまとめ
5. 固有値と固有ベクトル
5.3 二次形式
変数に関する実係数の斉次二次式*1を二次形式という。すなわちの係数をとおけば
と書ける。でが一意に定まらないため、とする。
係数行列を二次形式の行列という。が斉次多項式であることから、は実対称行列、すなわち
が成り立つ。
とおけば、
と表される。
2つの変数ベクトルが正則な行列によって
と書けるならば、
とおくとの二次形式である。
が成り立つから、により定まる二次形式である。
さて二次形式が与えられたとき、で表される適当な変数ベクトルを見つけてを可能な限り簡単な二次形式にすることを考える。とくにが直交行列ならばが成り立つから、
を施せば
となる。これを二次形式の標準形という。
このとき以下が成り立つ。
Sylvesterの慣性法則 二次形式に対していかなる正則線形変換を施して標準形に移しても正負の項の数は一定である。
によって2通りの標準形
を得たとする。ここでとする。
と仮定する。に関する斉次一次方程式系
は自明でない解を持つ。なぜならば仮定より、方程式の個数に対してが成り立つ。
の形であるから、
が成り立つ。したがってであり、が自明な解ではないということに反する。したがってでなければならない。 )
組を二次形式は実対称行列の正の固有値の数、は負の固有値の数である。
に対してが成り立つとき、二次形式は正値(半正定値)であるという。であるから、これは実対称行列が正値(半正値)であるということと同値である。それは更にと同値である。