計量経済学を学んでいく。
まずは
を中心に参照して基礎を学んでいく。
今日のまとめ
- 古典的変数回帰モデルにおける推定および検定を扱う。
5. 古典的変数回帰モデル
以降、とする。
5.1 古典的変数回帰モデルの導入
として重回帰モデル
を考える。更に以下の5つを仮定する。
- 仮定(1):は非確率的である。
- 仮定(2):が成り立つ。
- 仮定(3):で、各要素は他から独立である。
- 仮定(4):の階数はである。
- 仮定(5):
このうち、仮定(1)-(4)を満たす重回帰モデルを古典的回帰モデルといい、仮定(1)-(5)を満たす重回帰モデルを古典的正規回帰モデルという。
5.2 古典的回帰モデルにおける最小二乗推定量の分布
5.2.4 古典的正規回帰モデルにおける統計量の分布
確認のために書くとについて
が成り立つ。これを規格化してから二乗すると
となる。
さらに
が成り立つ。正規性の仮定のもとでは、
が成立する。
5.3 仮説検定
個別の係数についての検定は、仮説
の帰無仮説において、が成り立つことを活用すればよい。
5.3.1 回帰の検定
複数の係数について、定数項以外の係数がすべてであることを検定する。回帰モデル
においてとおき、仮説検定
を考える。この検定を回帰の検定という。
が成り立つから、
について、もし帰無仮説が真ならば、その推定値もに近いはずである。これは説明変数を入れても説明力は上がらず、それはすなわちは小さい(は大きい)ことを意味する。逆に対立仮説が正しいならばは小さい(は大きい)はずである。
したがって
が成り立つ。
5.3.2 残差二乗和による検定
一般に仮説が係数に個の制約を課する場合の検定は以下の統計量に注目する:
ここでは制約が課されたときの残差二乗和であり、は制約がないときの残差二乗和である。