「大人の教養・知識・気付き」を伸ばすブログ

一流の大人(ビジネスマン、政治家、リーダー…)として知っておきたい、教養・社会動向を意外なところから取り上げ学ぶことで“気付く力”を伸ばすブログです。データ分析・語学に力点を置いています。 →現在、コンサルタントの雛になるべく、少しずつ勉強中です(※2024年1月21日改訂)。

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ファイナンス練習(2021年09月02日)

 業務でC#を用いることになったので、最近勉強していなくて朧気になってきた知識をReviseする意味でも、以下の書籍を読みながらC#で実装してみる。今日はP.62-71まで。

4. 多変量確率変数とポートフォリオ理論

4.1 多変量確率変数

 確率変数X_{1},\cdots, X_{n}を成分にもつベクトル\boldsymbol{X}=^{t}(X_{1},\cdots,X_{n})n次元確率ベクトルという。たとえば複数の事象を一括で考えるときにこれを用いる。n次元確率ベクトル\boldsymbol{X}=^{t}(X_{1},\cdots,X_{n})に対して同時分布関数F_{\boldsymbol{X}}(\boldsymbol{x})


\begin{aligned}
F_{\boldsymbol{X}}(\boldsymbol{x}) := P\{X_{1}\leq x_1,\cdots,X_{n}\leq x_{n}\}, x_1,\cdots,x_n \in \mathbb{R}
\end{aligned}

で定義する。またすべてのx_1,\cdots,x_nに対して微分可能であるとして


\begin{aligned}
f_{\boldsymbol{X}}(\boldsymbol{x}) :=\displaystyle{\frac{\partial}{\partial x_{1}\cdots\partial x_{n}}}F_{\boldsymbol{X}}(\boldsymbol{x})
\end{aligned}

を同時密度関数という。

4.2 条件付き確率

 2つの事象A, Bに対して、P(B)\gt0として


\begin{aligned}
P(A|B):=\displaystyle{\frac{P(A\cap B)}{P(B)}}
\end{aligned}

を事象Bの下でのAの条件付き確率という。
 直観的に言えば、普通の確率P(A)は、全事象\Omegaに対してある関数(確率)Pで与えられる尺度P(\Omega)=1に対する事象Aの関数(確率)Pで与えられる尺度P(A)の割合として、その確からしさ(起こりやすさ)を与えている。これに対して、事象Bの下でのAの条件付き確率は事象Bが起こったという前提、すなわち事象Bに対してある関数(確率)Pで与えられる尺度P(B)に対する事象Aの関数(確率)Pで与えられる尺度(ただし事象Bが起こったという前提があるので)P(A\cap B)の割合として定義したものである。事象Bが生じたという情報を得たことで、それまでは全事象\Omega(=すべての場合、つまり事象としてどのような結果が生じるか全く分からないということ)よりも生じ得ることが事象Bに限定されたのである。

4.3 独立

 事象A, Bが独立であるとは事象Aが生じたという情報が与えられたとしても事象Bが生じる確率が変化しないことを指す。前節で定義した条件付き確率P\{A|B\}の考え方を用いれば、先程の説明流で言うと、全事象\OmegaBに置き換えても確率が変化しない、すなわち


\begin{aligned}
P(A)=\displaystyle{\frac{P(A\cap \Omega)}{P(\Omega)}=\frac{P(A\cap B)}{P(B)}=P(A|B)}
\end{aligned}

となることを言う。この式を変形すると


\begin{aligned}
P(A)&=\displaystyle{\frac{P(A\cap B)}{P(B)}}\\
\Leftrightarrow P(A\cap B)&=P(A)P(B)
\end{aligned}

が得られる。すなわち独立であれば同時確率をそれぞれの確率の積で計算でき、逆にそれぞれの確率の積で同時確率を表現できるのであれば、それらは独立である。

4.4 共分散と相関係数

 1組の確率変数(X,Y)に対して、一方が変化したときにもう一方がどれくらい変化し得るかを表す尺度として共分散Cov[X,Y]を定義できる:


\begin{aligned}
Cov[X,Y]&=E[(X-E[X])(Y-E[Y])]
\end{aligned}

これはX,Yの平均をそれぞれ\mu_X, \mu_Yとすると以下のように展開できる:


\begin{aligned}
Cov[X,Y]&=E[(X-E[X])(Y-E[Y])]\\
&=E[(X-\mu_{X})(Y-\mu_{Y})]\\
&=E[XY-\mu_{X}Y-\mu_{Y}X+\mu_X\mu_Y]\\
&=E[XY]-\mu_{X}E[Y]-\mu_{Y}E[X]+\mu_X\mu_Y\\
&=E[XY]-\mu_X\mu_Y
\end{aligned}

すなわち、Cov[X,Y]=E[XY]-E[X]E[Y]である。
 共分散はX,Yの水準が考慮されているため、水準は違うものの変化率に変換したときに全く同じ割合を取るような確率変数のペアを比較した場合、共分散の値は相違する。変化の尺度としては水準の情報は加味せず変化率のみ反映する尺度の方が望ましい場合も多い。そこで以下で新しい変化の尺度を導入する:


\begin{aligned}
\rho[X,Y]=\displaystyle{\frac{Cov[X,Y]}{\sqrt{V[X]V[Y]}}}
\end{aligned}

これを相関係数という。相関係数0のときを無相関という。
 無相関と独立は似たような概念であるが、異なる概念でもある。独立ならば無相関である。実際、確率変数X, Yが独立ならば、それらそれぞれの分布関数およびそれらの同時分布をそれぞれF_{XY}(z), F_{X}(x), F_{Y}(y)とすると


\begin{aligned}
F_{XY}(z)&=F_{X}(x)F_{Y}(y)
\end{aligned}

であるから


\begin{aligned}
Cov[X,Y]&=\int_{-\infty}^{\infty}\int_{-\infty}^{\infty}(x-E[X])(y-E[Y])dF_{XY}\\
&=\int_{-\infty}^{\infty}\int_{-\infty}^{\infty}(x-E[X])(y-E[Y])F_{X}(x)F_{Y}(y)dxdy\\
&=\int_{-\infty}^{\infty}\int_{-\infty}^{\infty}xyF_{X}(x)F_{Y}(y)dxdy\\
&\ \ \ \ -E[X]\int_{-\infty}^{\infty}\int_{-\infty}^{\infty}yF_{X}(x)F_{Y}(y)dxdy\\
&\ \ \ \ -E[Y]\int_{-\infty}^{\infty}\int_{-\infty}^{\infty}xF_{X}(x)F_{Y}(y)dxdy\\
&\ \ \ \ +E[X]E[Y]\int_{-\infty}^{\infty}\int_{-\infty}^{\infty}F_{X}(x)F_{Y}(y)dxdy\\
&=\int_{-\infty}^{\infty}xF_{X}(x)dx\int_{-\infty}^{\infty}yF_{Y}(y)dy-E[X]\int_{-\infty}^{\infty}F_{Y}(y)dy\\
&\ \ \ \ -E[Y]\int_{-\infty}^{\infty}xF_{X}(x)dx+E[X]E[Y]\\
&=E[X]E[Y]-E[X]E[Y]-E[X]E[Y]+E[X]E[Y]\\
&=0
\end{aligned}

したがって、


\begin{aligned}
\rho[X,Y]=\displaystyle{\frac{Cov[X,Y]}{\sqrt{V[X]V[Y]}}=0}
\end{aligned}

すなわち独立ならば無相関である*1

*1:逆は一般に成り立たない。ただし正規分布の場合は同値である

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