業務でC#を用いることになったので、最近勉強していなくて朧気になってきた知識をReviseする意味でも、以下の書籍を読みながらC#で実装してみる。今日はP.62-71まで。
4. 多変量確率変数とポートフォリオ理論
4.1 多変量確率変数
確率変数を成分にもつベクトルを次元確率ベクトルという。たとえば複数の事象を一括で考えるときにこれを用いる。次元確率ベクトルに対して同時分布関数を
で定義する。またすべてのに対して微分可能であるとして
を同時密度関数という。
4.2 条件付き確率
2つの事象に対して、として
を事象の下でのの条件付き確率という。
直観的に言えば、普通の確率は、全事象に対してある関数(確率)で与えられる尺度に対する事象の関数(確率)で与えられる尺度の割合として、その確からしさ(起こりやすさ)を与えている。これに対して、事象の下でのの条件付き確率は事象が起こったという前提、すなわち事象に対してある関数(確率)で与えられる尺度に対する事象の関数(確率)で与えられる尺度(ただし事象が起こったという前提があるので)の割合として定義したものである。事象が生じたという情報を得たことで、それまでは全事象(=すべての場合、つまり事象としてどのような結果が生じるか全く分からないということ)よりも生じ得ることが事象に限定されたのである。
4.3 独立
事象が独立であるとは事象が生じたという情報が与えられたとしても事象が生じる確率が変化しないことを指す。前節で定義した条件付き確率の考え方を用いれば、先程の説明流で言うと、全事象をに置き換えても確率が変化しない、すなわち
となることを言う。この式を変形すると
が得られる。すなわち独立であれば同時確率をそれぞれの確率の積で計算でき、逆にそれぞれの確率の積で同時確率を表現できるのであれば、それらは独立である。
4.4 共分散と相関係数
1組の確率変数に対して、一方が変化したときにもう一方がどれくらい変化し得るかを表す尺度として共分散を定義できる:
これはの平均をそれぞれとすると以下のように展開できる:
すなわち、である。
共分散はの水準が考慮されているため、水準は違うものの変化率に変換したときに全く同じ割合を取るような確率変数のペアを比較した場合、共分散の値は相違する。変化の尺度としては水準の情報は加味せず変化率のみ反映する尺度の方が望ましい場合も多い。そこで以下で新しい変化の尺度を導入する:
これを相関係数という。相関係数がのときを無相関という。
無相関と独立は似たような概念であるが、異なる概念でもある。独立ならば無相関である。実際、確率変数が独立ならば、それらそれぞれの分布関数およびそれらの同時分布をそれぞれとすると
であるから
したがって、
すなわち独立ならば無相関である*1。