「大人の教養・知識・気付き」を伸ばすブログ

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ファイナンス練習(2021年09月03日)

 業務でC#を用いることになったので、最近勉強していなくて朧気になってきた知識をReviseする意味でも、以下の書籍を読みながらC#で実装してみる。今日はP.62-78まで(当分は実装なしが続きます)。

4. 多変量確率変数とポートフォリオ理論

4.5 2変量正規分布

 確率ベクトル(X,Y)の同時密度関数が


\begin{aligned}
f_{{(X,Y)}}(x,y)&=\displaystyle{\frac{1}{2\pi\sigma_{X}\sigma_{Y}\sqrt{1-{\rho_{XY}}^2}}\exp(-\frac{1}{2}\frac{1}{1-{\rho_{XY}}^2}Q),}\\
Q&=\frac{(x-\mu_X)^2}{{\sigma_X}^2}-2\rho_{XY}\frac{(x-\mu_X)(y-\mu_Y)}{\sigma_{X}\sigma_{Y}}+\frac{(y-\mu_{Y})^2}{{\sigma_{Y}}^2}
\end{aligned}

と与えられるとき、(X,Y)は2変量正規分布に従うといい、


\begin{aligned}
(X,Y)\sim N_{2}(\mu_{X},\mu_{Y},{\sigma_{X}}^2,{\sigma_{Y}}^2,\rho_{XY})
\end{aligned}

と書く。ただし、\sigma_{X}, \sigma_{Y}\gt0, |\rho_{XY}|\lt1とする。
 これに


\begin{aligned}
X^{\prime}=\frac{X-\mu_{X}}{\sigma_{X}}, Y^{\prime}=\frac{Y-\mu_{Y}}{\sigma_{Y}}
\end{aligned}

と変数変換した(X^{\prime}, Y^{\prime})の密度関数


\begin{aligned}
f_{{(X^{\prime}, Y^{\prime})}}(x,y)&=\displaystyle{\frac{1}{2\pi\sqrt{1-{\rho_{XY}}^2}}\exp\{-\frac{x^2-2\rho_{XY}xy+y^2}{2(1-{\rho_{XY}}^2)}\}}\\
\end{aligned}

が2変量標準正規分布の密度関数である。

4.6 正規分布の有用性

 正規分布金融工学で用いる有用性は大きく分けて2つある:

  • すべての確率的性質が平均\muおよび分散\sigma^2に集約される
  • X_{i}\sim N(\mu_{i},{\sigma_i}^2), i=1,\cdots,nに対しr=\displaystyle{\sum_{i=1}^{n}c_{i}X_{i}}正規分布に従う

4.7 ポートフォリオの最適化

4.7.1 収益率

 資産価格の変化率r_{0,t}


\begin{aligned}
r_{0,t}=\displaystyle{\frac{S(t)-S(0)}{S(0)}}
\end{aligned}

で定義し収益率と呼ぶ。
 ただし株式に焦点を当てており、配当を考慮するタイミングt=tにおける収益率については、
S(t)を配当落ち後の価格、d_tをこの時点での1株当たり配当金*1として


\begin{aligned}
r_{0,t,C}=\displaystyle{\frac{S(t)-S(0)+d_{t}}{S(0)}}
\end{aligned}

で定義する。また


\begin{aligned}
r_{0,t,C}=\displaystyle{\log{\frac{S(t)}{S(0)}}}
\end{aligned}

で定義する収益率r_{0,t,C}を対数収益率という。これは


\begin{aligned}
S(t)=S(0)\exp({r_{0,t,C}})
\end{aligned}

と連続複利による運用に対応した定義である。またS(t)/S(0)が1に充分に近ければ、


\begin{aligned}
\log{(1+x)}=x-\frac{x^2}{2}+\frac{x^3}{3}+\cdots
\end{aligned}

と対数関数のMcLaurin展開から


\begin{aligned}
\displaystyle{\log{\frac{S(t)}{S(0)}}}&=\frac{S(t)}{S(0)}-1-\frac{(\frac{S(t)}{S(0)}-1)^2}{2}+\frac{(\frac{S(t)}{S(0)}-1)^3}{3}+\cdots\\
&\approx \frac{S(t)}{S(0)}-1\\
&=\frac{S(t)-S(0)}{S(0)}
\end{aligned}

と通常の収益率に近似できることから、その利用を正当化できる。以後、収益率をリターンと呼ぶ。
 リターンを用いるのは線型性があるために便利である。複数の金融商品i=1,\cdots,nがあり、時点t=tにおけるそれらの価値をS_{i}(t),i=1,\cdots,n、またそれらのリターンを


\begin{aligned}
r_{i}(t)&=\displaystyle{\frac{S(t)-S(t-1)}{S(t-1)}} または\\
r_{i}(t)&=\displaystyle{\log{\frac{S(t)}{S(t-1)}}}
\end{aligned}

とする。これらの商品の保有数をk_{i}(t),i=1,\cdots,nとする。こういった複数の商品を1まとめにしたものをポートフォリオという。
 上述したポートフォリオPの価値W_{P}(t)


\begin{aligned}
W_{P}(t)=\displaystyle{\sum_{i=1}^{n}k_i(t)S_{i}(t)}
\end{aligned}

で与えられる。
 ここでポートフォリオのリターンr_{P}(t)を考えよう。直接的には


\begin{aligned}
r_{P}(t)&=\displaystyle{\frac{W_{P}(t)-W_{P}(t-1)}{W_{P}(t-1)}} または\\
r_{P}(t)&=\displaystyle{\log\frac{W_{P}(t)}{W_{P}(t-1)}}
\end{aligned}

と計算できる。これを分解してみる(ただし、k_{i}(t)=k_{i}(t-1)、すなわちポートフォリオの組換は無いものとする):


\begin{aligned}
r_{P}(t)&=\displaystyle{\frac{W_{P}(t)-W_{P}(t-1)}{W_{P}(t-1)}}\\
&=\displaystyle{\frac{\sum_{i=1}^{n}k_i(t)S_{i}(t)-\sum_{i=1}^{n}k_i(t-1)S_{i}(t-1)}{\sum_{i=1}^{n}k_i(t-1)S_{i}(t-1)}}\\
&=\displaystyle{\frac{1}{\sum_{i=1}^{n}k_i(t-1)S_{i}(t-1)}\sum_{i=1}^{n}S_{i}(t-1)\{k_i(t)\frac{S_{i}(t)}{S_{i}(t-1)}-k_i(t-1)\}}\\
&=\displaystyle{\sum_{i=1}^{n}\frac{S_{i}(t-1)k_i(t-1)}{\sum_{i=1}^{n}k_i(t-1)S_{i}(t-1)}\{\frac{S_{i}(t)}{S_{i}(t-1)}-1\}}\\
&=\displaystyle{\sum_{i=1}^{n}\omega_{i,t-1}\{\frac{S_{i}(t)}{S_{i}(t-1)}-1\}},\ \ \omega_{i,t-1}=\frac{S_{i}(t-1)k_i(t-1)}{\sum_{i=1}^{n}k_i(t-1)S_{i}(t-1)}\\
&=\displaystyle{\sum_{i=1}^{n}\omega_{i,t-1}r_{i}(t)}
\end{aligned}

すなわち、ポートフォリオのリターンは個別の商品のリターンの加重平均で表現できることが分かる。ここでこの加重平均の比重\omega_{i,t-1}、すなわち


\begin{aligned}
\omega_{i,t-1}=\frac{S_{i}(t-1)k_i(t-1)}{\sum_{i=1}^{n}k_i(t-1)S_{i}(t-1)}
\end{aligned}

は投資比率(そのままウェイトとも)という。

*1:配当落ち日であれば、その時点での理論配当額を用いる。実際に配当が支払われる日にそれを修正する場合もある

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