はじめに
プログラミング云々ばかり言っていても、それがどのように計算されているかを知らないと仕様が無い。ということで数値解析を学んでいく。
基本的には
https://power-of-awareness.com/entry/2023/03/20/0500power-of-awareness.com
前回の復習
- 法は多変数においても成立し得るか。成立するならば、その収束速度について述べよ。 成立する。法はその解に近い初期値を選べば2次収束する。
- 連続の定義を述べよ。 閉集合で定義されたが、に対して、ノルムが定義されていて、が成り立つとき、は(に関して)連続であるという。
2. 非線形方程式の解
2.3 連立非線形方程式
2.3.5 多変数反復法の誤差解析
定理2.12にはより精緻に改良されたものが存在する。
定理2.12 多変数反復法の誤差評価(2) 反復が次収束する、すなわちに対して
が成り立つならば、仮定および
の下で、
が成り立つ。特にならば、仮定およびの下で、より詳しく書き下した
が成り立つ。
であるから、
を得る。また
より
を得る。
ここでとおくと、
であり、また仮定より
に注意すれば、
である。したがっての正根をの最小の正根をとすれば、
および
に注意すれば、定理6.3も踏まえて、
を得る。
特にならば、
であるから、
で、これらを代入することで、
を得る。 )
2.3.6 多変数Newton法の誤差評価
特別な場合として、を解く型反復
を考える。ここでは、の解を含む閉領域において正則な次行列で、が級だとする。
定理2.13 多変数法の誤差評価 法の反復
の誤差を含んだ反復
は、仮定
の下で
が成り立つ。
と書け、
である。
ここで
とおくと、
が成り立つ。をに充分近く、を十分に小さく選び、が成り立つとすれば、誤差を含んだ反復
において
である。いま
とおけば、
である。この条件が成り立つ場合、定理2.12より、
である。この最右辺をとおけば、二項展開により、
を得る。 )
なお多変数法を実際に計算するとき、ヤコビアンの逆行列を実際に計算する必要はない。なぜならば、が求まったとすれば、に関する連立一次方程式
を解き、とすればよいからである。したがって多変数法における反復で最も重要なのは、連立一次方程式を解くことにある。
※今日の復習はなし
参考文献
- 伊理正夫・藤野和建(1985)「数値計算の常識」(共立出版)
- 菊地文雄・齊藤宣一(2016)「数値解析の原理 現象の解明をめざして」(岩波書店)
- 齊藤宣一(2012)「数値解析入門」(東京大学出版)
- 齊藤宣一(2017)「数値解析」(共立出版)
- 高橋大輔(1996)「理工系の基礎数学8 数値計算」(岩波書店)
- 山本哲朗(2003)「数値解析入門[増訂版]」(サイエンス社)
- 日本応用数理学会 監修・ 櫻井 鉄也 編・ 松尾 宇泰 編・ 片桐 孝洋 編(2018)「数値線形代数の数理とHPC」(共立出版)
- Ridgway Scott, Larkin (2011), "Numerical Analysis", (Princeton University Press)