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やりなおしの数学・線形代数篇(18/26)

 定番書

を基に線形代数を学び直していく。

今日のまとめ

  • Unitary変換はT^{*}=T^{-1}が成り立つような変換である。またT^{*}=Tが成り立つ変換TをHermite変換という。これは任意の正規直交基底に関するTの行列がHermite行列({}^{t}\bar{A}=A)であるような変換である。

5. 固有値固有ベクトル

5.2 Unitary空間の正規変換

 VをUnitary空間、TVの線形変換とし、ある正規直交基底に関するTの行列をAとする。
 この基底に関してAの随伴行列A^{*}={}^{t}\bar{A}により表現されるVの線形変換をTの随伴変換といい、T^{*}で表す。T^{*}{}^{\forall}\boldsymbol{x},{}^{\forall}\boldsymbol{y}\in Vに対して


\begin{aligned}
(T^{*}\boldsymbol{x},\boldsymbol{y})=(\boldsymbol{x},T\boldsymbol{y})
\end{aligned}

が成り立つことで特徴づけられる。
 Unitary変換はT^{*}=T^{-1}が成り立つような変換である。またT^{*}=Tが成り立つ変換TをHermite変換という。これは任意の正規直交基底に関するTの行列がHermite行列({}^{t}\bar{A}=A)であるような変換である。

 T^{*}Tが交換可能な変換を正規変換という。Unitary変換やHermite変換は正規変換である。またn次行列AA^{*}A=AA^{*}を満たすとき正規行列という。


線形変換の交換可能性と固有ベクトルの関係 複素線形空間Vの2つの線形変換T,Sが交換可能ならばT,Sは少なくとも1つの共通な固有ベクトルを持つ。
(\because Tの1つの固有値\alphaに対する固有空間をWとする。WT-不変かつS-不変である。実際\boldsymbol{x}\in Wに対して

\begin{aligned}
T(S\boldsymbol{x})=S(T\boldsymbol{x})=S(\alpha\boldsymbol{x})=\alpha S\boldsymbol{x}
\end{aligned}

が成り立つ。したがってS\boldsymbol{x}T固有値\alphaに対する固有ベクトル、すなわちWの元である。
 SWへの制限S_{W}の1つの固有ベクトル\boldsymbol{a}を取れば、これはS固有ベクトルであり、\boldsymbol{a}\in Wでもあるから、T固有ベクトルでもある。 \blacksquare)


Unitary空間と随伴変換 n次元Unitary空間Vの2つの線形変換T,Sが交換可能ならば、以下を満たすようなVの部分空間列\{W_i\}_{i=1}^{n}が存在する:
(1) W_i,i=1,2,\cdots,nT-不変かつS-不変である;
(2) \{\boldsymbol{0}\}=W_0\subset W_1\subset\cdots\subset W_n=V
(3) \dim W_i=\dim W_{i-1}+1, i=1,2,\cdots,n
(\because n=1ならば明らかである。\dim V=n-1において主張が成り立つと仮定する。
 T,Sの随伴変換をそれぞれT^{*},S^{*}とすれば、条件(1)よりこれらは交換可能である。T^{*},S^{*}に共通する固有ベクトル\boldsymbol{a}を取り、これと直交するようなベクトル全体の成すVの部分空間をW_{n-1}とする。
 W_{n-1}T-不変かつS-不変である。なぜならば\boldsymbol{x}\in W_{n-1}を取ると、

\begin{aligned}
(\boldsymbol{a},T\boldsymbol{x})=(T^{*}\boldsymbol{a},\boldsymbol{x})=\alpha(\boldsymbol{a},\boldsymbol{x})=0
\end{aligned}

となり、W_{n-1}T-不変である。Sに関しても同様である。
 T,SW_{n-1}への制限をT^{\prime},S^{\prime}とすれば、明らかにこれらは交換可能である。\dim W_{n-1}=n-1であるから、数学的帰納法の過程から次の条件を満たすような\{W_i\}_{i=1}^{n-1}が存在する:

(1^{\prime}) W_i,i=1,2,\cdots,nT^{\prime}-不変かつS^{\prime}-不変である;
(2^{\prime})\{\boldsymbol{0}=W_0\subset W_1\subset\cdots\subset W_{n-1}=V\}
(3^{\prime})\dim W_i=\dim W_{i-1}+1, i=1,2,\cdots,n-1

このときVの部分空間列\{W_i\}_{i=1}^{n},\ W_n=Vが定理の条件を満たすのは明らかである。 \blacksquare)

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