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やりなおしの数学・微分積分篇(23/X)

 以下の書籍を参考に、改めて微分積分を復習していく。

www.rokakuho.co.jp

今日のまとめ

6. 1変数関数の積分

6.5 広義積分

 有界区間内の不連続点で関数が非有界になる場合や積分区間が非有界となる場合の積分を扱う。

6.5.2 広義積分の収束・発散

 原始関数が即座に求まらない関数に対する広義積分の収束・発散の判定を考える。


積分の収束性 f(X)[a,b)で連続かつ\displaystyle{\lim_{a\rightarrow b-0}|f(x)|}=\inftyだとする。このとき

(1) 積分\displaystyle{\int_{a}^{b} f(x)dx}が収束するための必要十分条件


\begin{aligned}
{}^{\forall}\varepsilon\gt0\left({}^{\exists}\delta\gt0\left({}^{\forall}x_1,{}^{\forall}x_2\ s.t.\ b-\delta\lt x_1\lt x_2\lt b\left(\left|\displaystyle{\int_{x_1}^{x_2}f(x)dx}\right|\lt \varepsilon\right)\right)\right)
\end{aligned}

である。

(2) [a,b)上の連続関数g(x)|f(x)|\lt g(x)を満たし、\displaystyle{\int_{a}^{b}g(x)dx}が収束すれば\displaystyle{\int_{a}^{b}f(x)dx}は収束する。

(\because
(1) F(x)=\displaystyle{\int_a^{x}f(y)dy}とおけば\displaystyle{\lim_{x\rightarrow b-0}F(x)}が存在するための必要十分条件を求めればよい。これはCauchyの判定法により成立する。
(2) \displaystyle{\int_{a}^{b}g(x)}dxを仮定する。このとき、a\lt x_1\lt x_2\lt bとして

\begin{aligned}
\left|\displaystyle{\int_{x_1}^{x_2}f(x)}dx\right|\leq \displaystyle{\int_{x_1}^{x_2}|f(x)|}dx\leq \displaystyle{\int_{x_1}^{x_2}g(x)}dx
\end{aligned}

が成立する。仮定より、x_1,x_2\rightarrow b-0のとき右辺は0に収束する。したがって(1)の結果から


\begin{aligned}
\displaystyle{\int_{a}^{b}f(x)}dx
\end{aligned}

は収束する。 \blacksquare)

 この定理を用いて収束性を判定するには、たとえば


\begin{aligned}
g(x)=\displaystyle{\frac{1}{(b-x)^{p}}},\ 0\lt p\lt 1
\end{aligned}

を用いればよい。


広義積分の収束判定法 f(x)[a,b)で連続かつ適当なc\in[a,b)に対してf(x)\gt0,\ c\leq x\leq bとする。

(1)0\lt f(x)\leq \displaystyle{\frac{K}{(b-x)^p}},\ c\leq x\lt bとなるようなK\gt0,\ 1\gt p\gt 0が存在するならば、\displaystyle{\int_{a}^{b} f(x)}dxは収束する。

(2) f(x)\geq \displaystyle{\frac{K}{(b-x)^p}},\ c\leq x\lt bとなるようなK\gt0,\ 1\gt p\gt 0が存在するならば、\displaystyle{\int_{a}^{b} f(x)}dxは発散する。

(3) 特に\displaystyle{\lim_{x\rightarrow b-0}(b-x)^{p} f(x)=A\in(-\infty,\infty)}となるとき、\displaystyle{\int_{a}^{b}f(x)}dx0\lt p\lt1ならば収束し、p\geq1,A\gt0ならば発散する。

(\because
(1) 0\lt p\lt1のとき、I=\displaystyle{\int_{a}^{b}\frac{dx}{(b-x)^{p}}}とおく。\displaystyle{\frac{1}{(b-x)^p}}x\rightarrow b-0のとき非有界であるから、

\begin{aligned}
I&=\displaystyle{\lim_{a\rightarrow b-0}\int_{a}^{b}\frac{dx}{(b-x)^{p}}}\\
 &=-\displaystyle{\lim_{a\rightarrow b-0} \frac{1}{p+1}\left[(b-x)^{p+1}\right]_{a}^{b}}\\
 &=0
\end{aligned}

であり、収束する。したがって前に示した定理より\displaystyle{\int_{a}^{b}f(x)}dxは収束する。

(2)  c\leq x\lt bにおいて


\begin{aligned}
\displaystyle{\int_{c}^{x}f(t)dt}\gt \displaystyle{\int_{c}^{x}\frac{K}{(b-t)^{p}}}dt
\end{aligned}

が成り立つ。ここでp\geq1であるから、(1)と同様の議論から、上の不等式においてc\rightarrow b-0と共に\inftyに発散する。

(3) \displaystyle{\lim_{x\rightarrow b-0}(b-x)^{p}}f(x)=A\geq0を仮定する。c^{*}\in(a,b)を適当に選ぶことで


\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{1}{2}A}\leq (b-x)^{p} f(x)\leq 2A,\ c^{*}\lt x\lt b
\end{aligned}

が成り立つ。したがって(1),(2)より成立する。 \blacksquare)

 これまでの結果はf(x)が[tex:(a,b]で連続かつ\displaystyle{\lim_{x\rightarrow a+0}|f(x)|}=\inftyとなる場合にも成立し、上記定理に似た結果が得られる。


 次に積分区間が非有界の場合での広義積分の収束・発散を考える。


積分区間が非有界の場合の広義積分の収束条件 f(x)[a,\infty)で定義された有界な連続関数とする。

(1) 積分\displaystyle{\int_{a}^{\infty}f(x)}dxが収束するための必要十分条件


\begin{aligned}
{}^{\forall}\varepsilon\gt0\left({}^{\exists}R\gt0\left({}^{\forall}x_1,{}^{\forall}x_2\ s.t.\ R\lt x_1\lt x_2\left(\left|\displaystyle{\int_{x_1}^{x_2}f(x)dx}\right|\lt\varepsilon\right)\right)\right)
\end{aligned}

である。

(2) [a,\infty)上の連続関数g(x)|f(x)|\leq g(x)を満たし\displaystyle{\int_{a}^{\infty}g(x)}dxが収束するならば、\displaystyle{\int_{a}^{\infty}}f(x)dxは収束する。


積分区間が非有界の場合の広義積分の収束・発散判定 f(x)[a,\infty)で定義された有界な連続関数で、さらに適当なc\gt0を取ればf(x)\gt0,x\geq cが成り立つものとする。

(1) 0\lt f(x)\lt \displaystyle{\frac{K}{x^p}},x\geq cとなるようなK\gt0,p\gt1が存在するならば\displaystyle{\int_{a}^{\infty}f(x)dx}は収束する。
(2) f(x)\geq \displaystyle{\frac{K}{x^p}},x\geq cとなるようなK\gt0,1\geq p\gt0が存在するならば\displaystyle{\int_{a}^{\infty}f(x)dx}は発散する。
(3) 特に\displaystyle{\lim_{x\rightarrow b-0}x^{p} f(x)=A\in(-\infty,\infty)}となるとき、\displaystyle{\int_{a}^{b}f(x)}dxp\gt1ならば収束し、0\lt p\lt1,A\gt0ならば発散する。


例1:\displaystyle{\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \log{\sin x}}dxの収束・発散を調べよ。
 x\rightarrow+0のとき\log{\sin x}\rightarrow-\inftyである。0\lt p\lt 1に対してde l'Hôpitalの定理を適用することで


\begin{aligned}
x^{p} \log{\sin x}&=\displaystyle{\frac{\log \sin x}{x^{-p}}}=\displaystyle{\frac{\displaystyle{\frac{\cos x}{\sin x}}}{-p x^{-p-1}}}\\
                           &=-\displaystyle{\frac{1}{p}}x^p \displaystyle{\frac{x}{\sin x}}\cdot \cos x\\
                           &\rightarrow 0(x\rightarrow +0)
\end{aligned}

を得る。したがって前述の定理からこれは収束する。


例2:\displaystyle{\int_{0}^{\infty}\frac{\sin x}{x}dx}は収束することを示せ。
 \left|\displaystyle{\frac{\sin x}{x}}\right|\leq1であるから、\displaystyle{\frac{\sin x}{x}}有界な連続関数である。そこで非有界区間における広義積分の収束性を議論すればよい。0\lt p\lt qとすると-1\leq\cos x\leq1に注意すれば


\begin{aligned}
\left|\int_{p}^{q}\displaystyle{\frac{\sin x}{x}}dx \right|&=\left| \left[-\displaystyle{\frac{\cos x}{x}}\right]_{p}^{q}-\int_{p}^{q}\displaystyle{\frac{\cos x}{x^2}}dx \right|\\
&\leq\displaystyle{\frac{1}{p}}+\displaystyle{\frac{1}{q}}+\displaystyle{\int_{p}^{q}\frac{dx}{x^2}}=\displaystyle{\frac{2}{p}}\rightarrow0(p\rightarrow\infty)
\end{aligned}

が成り立つ。したがってこの積分は収束する。 \blacksquare

6.5.3 ガンマ関数とベータ関数

 広義積分の応用としてガンマ関数とベータ関数を導入する。

  • 積分I=\displaystyle{\int_{0}^{\infty}e^{-x}x^{p-1}}dxp\gt0のとき収束する。

 積分区間[0,\infty)=[0,1]\cup[1,\infty)に分割し


\begin{aligned}
I_1+I_2=\displaystyle{\int_{0}^{1}e^{-x}x^{p1}dx}+\displaystyle{\int_{1}^{\infty}e^{-x}x^{p1}dx}
\end{aligned}

とおく。f(x)=e^{-x}x^{p-1}に対して0\lt x\leq1において0\lt f(x)\leq x^{p-1}であり、\displaystyle{\int_{0}^{1}x^{p-1}}dxp\gt0で収束するから、I_1は収束する。また\displaystyle{\lim_{x\rightarrow\infty}x^2 f(x)}=0であるから、I_2も収束する。
 この積分Ipの関数と見て


\begin{aligned}
\Gamma(p)=\displaystyle{\int_{0}^{\infty}e^{-x}x^{p-1}dx}
\end{aligned}

とおいたものをガンマ関数という。
 ガンマ関数は以下を満たす:

(1)\Gamma(p+1)=p\Gamma(p),p\gt0
(2) \Gamma(1)=1,{}^{\forall}n\in\mathbb{N}(\Gamma(n+1)=n!)


 この積分p,qの関数と見たB(p,q)をベータ関数という。これについては後述する。

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