6. 1変数関数の積分
6.5 広義積分
有界区間内の不連続点で関数が非有界になる場合や積分区間が非有界となる場合の積分を扱う。
6.5.2 広義積分の収束・発散
原始関数が即座に求まらない関数に対する広義積分の収束・発散の判定を考える。
((1) とおけばが存在するための必要十分条件を求めればよい。これはCauchyの判定法により成立する。
(2) を仮定する。このとき、として
が成立する。仮定より、のとき右辺はに収束する。したがって(1)の結果から
は収束する。 )
この定理を用いて収束性を判定するには、たとえば
を用いればよい。
広義積分の収束判定法 はで連続かつ適当なに対してとする。
(1)となるようなが存在するならば、は収束する。
(2) となるようなが存在するならば、は発散する。
(3) 特にとなるとき、はならば収束し、ならば発散する。
(1) のとき、とおく。はのとき非有界であるから、
であり、収束する。したがって前に示した定理よりは収束する。
(2) において
が成り立つ。ここでであるから、(1)と同様の議論から、上の不等式においてと共にに発散する。
(3) を仮定する。を適当に選ぶことで
が成り立つ。したがって(1),(2)より成立する。 )
これまでの結果はで連続かつとなる場合にも成立し、上記定理に似た結果が得られる。
次に積分区間が非有界の場合での広義積分の収束・発散を考える。
積分区間が非有界の場合の広義積分の収束・発散判定 はで定義された有界な連続関数で、さらに適当なを取ればが成り立つものとする。
(1) となるようなが存在するならばは収束する。
(2) となるようなが存在するならばは発散する。
(3) 特にとなるとき、はならば収束し、ならば発散する。
例1:の収束・発散を調べよ。
のときである。に対してde l'Hôpitalの定理を適用することで
を得る。したがって前述の定理からこれは収束する。
例2:は収束することを示せ。
であるから、は有界な連続関数である。そこで非有界区間における広義積分の収束性を議論すればよい。とするとに注意すれば
が成り立つ。したがってこの積分は収束する。