「大人の教養・知識・気付き」を伸ばすブログ

一流の大人(ビジネスマン、政治家、リーダー…)として知っておきたい、教養・社会動向を意外なところから取り上げ学ぶことで“気付く力”を伸ばすブログです。データ分析・語学に力点を置いています。 →現在、コンサルタントの雛になるべく、少しずつ勉強中です(※2024年1月21日改訂)。

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ファイナンス練習(2021年08月28日)

 業務でC#を用いることになったので、最近勉強していなくて朧気になってきた知識をReviseする意味でも、以下の書籍を読みながらC#で実装してみる。今日はP.36-47まで。ただし今回は実装なし。

3. 確率論の基礎

3.1 二項分布を用いた株価モデル

 確率p, 0\lt p \lt1で成功、1-pで失敗を定義できるような出来事を複数回(n回)行うような試行を考える(各出来事は影響しない(独立である)ものとする)。そのうちk, 0\lt k\lt n回成功する確率p(k)を考える。


\begin{aligned}
p(k)&=_{n}C_kp^{k}(1-p)^{n-k}
\end{aligned}

 株価過程を表現するのに、時刻を離散的に考えて(たとえば毎翌営業日の終値)株価の上昇を成功、下落を失敗と考えることで二項分布を活用できる。すなわち、初期時点t=0においてS(0)=S_{0}である株価S(t)に対し各期間t\gt0において確率pu\geq1倍に、確率1-pd\lt1倍になるようにモデル化すれば、
 時点Tにおいて株価がk回上昇する確率は


\begin{aligned}
p(k)&=_{n}C_kp^{k}(1-p)^{n-k}
\end{aligned}

であり、この時の株価は


\begin{aligned}
S(T)&=S_{0}u^{k}d^{T-k}
\end{aligned}

である。

3.2 Poisson分布を用いた倒産確率のモデル化

 二項分布において\lambda=npを固定したままでn\rightarrow\inftyとすれば


\begin{aligned}
p(k)&=_{n}C_kp^{k}(1-p)^{n-k},\\
&=\displaystyle{_{n}C_k{(\frac{\lambda}{n})}^{k}(1-\frac{\lambda}{n})^{n-k}}\\\
&=\displaystyle{\frac{\lambda^{k}}{k!}(1-\frac{\lambda}{n})^{n}\prod_{i=1}^{k-1}(1-\frac{i}{n})(1-\frac{\lambda}{n})^{-k}}\
\end{aligned}

であるから、n\rightarrow\inftyとすれば


\begin{aligned}
\displaystyle{\lim_{n\rightarrow\infty}(1-\frac{\lambda}{n})^n=e^{-\lambda}}\
\end{aligned}

であること、残りの項はn\rightarrow\infty1に収束することを踏まえれば、


\begin{aligned}
p(k)\rightarrow\frac{\lambda^k}{k!}e^{-\lambda}, k=0,1,2,\cdots (n\rightarrow\infty)
\end{aligned}

となる。このような形態の確率を持つ分布をポアソン分布Po(\lambda)という。

 ポアソン分布を用いると、ある基準でグループ化された企業群の1年以内に倒産する企業数の確率をモデル化できる。企業数をnとし、各企業の1年以内の倒産確率をpとすれば、1年以内に倒産する企業数がk, 0\lt k\lt nである確率を


\begin{aligned}
p(k)=\frac{\lambda^k}{k!}e^{-\lambda}, k=0,1,2,\cdots
\end{aligned}

で近似できる。

3.3 正規分布と対数正規分布

 確率密度関数


\begin{aligned}
f(x)=\displaystyle{ \frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^{2}}}\exp\{-\frac{(x-\mu)^{2}}{2\sigma^2}\} }\
\end{aligned}

で表される確率分布を正規分布N(\mu,\sigma^2), \sigma>0という。
 連続複利表示リターンXについてX\sim N(\mu,\sigma^2)であるような資産を考える。このとき資産価格Y=e^{X}は、P\{Y\leq x\}=P\{X\leq\log{x}\}が成り立つことに注意すれば


\begin{aligned}
P\{Y\leq x\}&=F_{Y}(x)=\displaystyle{\int_{-\infty}^{x}\frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^2}}\exp\{-\frac{(y-\mu)^2}{2\sigma^2}\}}dy\\\
&=\displaystyle{\int_{-\infty}^{\log{x}}\frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^2}}\exp\{-\frac{(y-\mu)^2}{2\sigma^2}\}}dy
\end{aligned}

これをxに関して微分することで


\begin{aligned}
f_{Y}(y)&=\displaystyle{\frac{d}{dx}F_{X}(\log{y})}=\frac{1}{\sqrt{2\pi}y\sigma}\exp\{-\frac{(\log{y}-\mu)^2}{2\sigma^2}\}, y\gt 0\\\
\end{aligned}

このような確率密度関数を持つ確率分布を対数正規分布という。
 対数正規分布の平均および分散を確認しておこう*1Yの平均を\mu_{Y},分散を {\sigma_{Y}}^2とすれば


\begin{aligned}
\mu_{Y}&=E_{Y}[Y]=\displaystyle{\int_{0}^{\infty}y\frac{1}{\sqrt{2\pi}y\sigma}\exp\{-\frac{(\log{y}-\mu)^2}{2\sigma^2}\}}dy\\\
&=\displaystyle{\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\int_{0}^{\infty}\exp\{-\frac{(\log{y}-\mu)^2}{2\sigma^2}\}}dy\
\end{aligned}

ここで\log{y}=zとおくとy:0\rightarrow\infty z:-\infty\rightarrow\inftyおよびdy=e^{z}dzであるから、


\begin{aligned}
\mu_{Y}&=E_{Y}[Y]=\displaystyle{\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\int_{0}^{\infty}\exp\{-\frac{(z-\mu)^2}{2\sigma^2}\}}e^{z}dz\\\
&=\displaystyle{\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\int_{0}^{\infty}\exp\{-\frac{(z-\mu)^2-2\sigma^2z}{2\sigma^2}\}}dz\\\
&=\displaystyle{\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\int_{0}^{\infty}\exp\{-\frac{\{z-(\mu+\sigma^2)\}^2-2\mu\sigma^2-\sigma^4}{2\sigma^2}\}}dz\\\
&=\displaystyle{\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\int_{0}^{\infty}e^{\mu+\frac{1}{2}\sigma^2}\exp\{-\frac{\{z-(\mu+\sigma^2)\}^2}{2\sigma^2}\}}dz\\\
&=\displaystyle{e^{\mu+\frac{1}{2}\sigma^2}}\
\end{aligned}

である。ここで


\begin{aligned}
\displaystyle{\int_{0}^{\infty}\exp\{-\frac{\{z-(\mu+\sigma^2)\}^2}{2\sigma^2}\}}dz=\sqrt{2\pi}\sigma\\\
\end{aligned}
を用いた。

 また分散 {\sigma_{Y}}^2\log{y}=zとおくとy:0\rightarrow\infty z:-\infty\rightarrow\inftyおよびdy=e^{z}dzであるから、


\begin{aligned}
{\sigma_{Y}}^2&=E_{Y}[Y^2]-(E_{Y}[Y])^2\\
&=\displaystyle{\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\int_{0}^{\infty}y\exp\{-\frac{(\log{y}-\mu)^2}{2\sigma^2}\}}dy-e^{2\mu+\sigma^2}\\\
&=\displaystyle{\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\int_{0}^{\infty}e^{2z}\exp\{-\frac{(z-\mu)^2}{2\sigma^2}\}}dz-e^{2\mu+\sigma^2}\\\
&=\displaystyle{\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\int_{0}^{\infty}\exp\{-\frac{\{z-(\mu+2\sigma^2)\}^2-4\mu\sigma^2-4\sigma^4}{2\sigma^2}\}}dz-e^{2\mu+\sigma^2}\\
&=e^{2\mu+2\sigma^2}\displaystyle{\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\int_{0}^{\infty}\exp\{-\frac{\{z-(\mu+2\sigma^2)\}^2}{2\sigma^2}\}}dz-e^{2\mu+\sigma^2}\\
&=e^{2\mu+2\sigma^2}-e^{2\mu+\sigma^2}\\
&=e^{2\mu+\sigma^2}(e^{\sigma^2}-1)
\end{aligned}

である。まとめると、

Y=e^{X}, X\sim N(\mu, \sigma^2)は、対数正規分布に従い、

3.4 一様分布

 確率密度関数f_{U}(x)a\lt bを用いて


\begin{aligned}
f_{U}(x)=\displaystyle{\frac{1}{b-a}, a\lt x\lt b}\\\
F_{U}(x)=\displaystyle{\frac{1}{b-a}x, a\lt x\lt b}
\end{aligned}

となるような確率変数Uは一様分布U(a,b)に従うという。
 特にa=0, b=1とした場合を標準一様分布といい、標準一様分布から乱数を生成することで、確率値を生成することができる。逆関数F^{-1}が存在するようなある関数F_{X}(x)およびU\sim U(0,1)に対して、X=F^{-1}(U)とおくと、\{X\leq x\}\Leftrightarrow \{F^{-1}(U)\leq x\Leftrightarrow \{U\leq F(x)\}であるから、


\begin{aligned}
P\{X\leq x\}=P\{U\leq F(x)\}=F_{X}(x)
\end{aligned}

が成り立つ。すなわち標準一様乱数Uを生成しF^{-1}(U)と変換することで、分布関数がF_{X}(x)であるような確率乱数を生成することができる

*1:正規分布の平均および分散がそのまま持ち越されるわけではない

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