はじめに
- いい歳なので、そろそろ体に向き合わないといけないのだが、最も気になるのが加齢臭などの「臭い」である。
- そこで臭いを科学的に学んでみようということで、を読んでみる。
- 前回:power-of-awareness.com
2. 体臭の傾向と対策
2.2 中年男性臭
2.2.1 ジアセチルの生成
- trans 2-ノネナールのほかにも、加齢により発生量が変わる皮膚ガスがある。男性では、30~40代で発生量が変わる代表的なガスがジアセチルである。
- ジアセチルは他の皮脂臭などの混ざると中年男性特有のにおいを生み出す(ただし、ジアセチル自体は乳製品などからも放散される。)。
- ジアセチルは、汗に含まれる乳酸と皮膚常在菌との表面反応によって生成される皮膚ガスである。酸素が不十分な状態(激しい運動後など)でエネルギー獲得反応を行うことにより、炭水化物はピルビン酸を経て乳酸が生まれる*1。そのような乳酸がエクリン汗腺から分泌される汗に交じって皮膚表面に現れると、常在菌(表皮ブドウ球菌など)により分解されジアセチルに変わる。
- ジアセチルが中年男性に多い理由は明らかになっていない。ジアセチルは、頭部や首筋など汗をかきやすい部位から比較的多く放散される。
- ジアセチルの皮膚からの放散量は1日で一定という訳ではなく、夕方4時から朝方6時に多くなる傾向がある。これは乳酸の産出・蓄積および除去のメカニズムを反映している可能性がある。
2.2.2 体臭認知の性差
- ジアセチルは、皮脂臭や他の皮膚ガス成分が混ざることで中年男性特有のにおいになると考えられている。ただし、嗅覚情報は感情や記憶と結びつきやすいため、このにおいを好感する女性もいる。
- 男女3名(20代女性、30代男性および60代男性)の項部から放出されるジアセチルおよびtrans 2-ノナネールを測定し、またパネラー20人(20代男女各10名)に20㎝離れたところから臭いを嗅いだ時の感覚を5段階で評価してもらった。その結果、いずれの臭質に対しても女性の方が認知及び弁別可能な人数が多い傾向があった。また、放散フラックス*2が高いほど感覚量の得点が高くなる傾向が見られ、女性の方が全般に高かった。
- 女性の方が体臭に敏感なのは、女性の方が嗅球の細胞数が男性よりも多いためだと考えられる*3。))。
2.2.3 中年男性臭の対策
- 中年男性臭の対策には、①こまめに汗を拭く②換気を良くする③香水を用いる
(続く)
