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時系列解析の基礎(27/XX)

 以下の書籍

を中心に時系列解析を勉強していきます。

14. 線形・Gauss型状態空間モデルにおける代表的な成分モデル

 状態空間モデルでは、個別の基本的なモデルを部品のように組み合わせて利用することが容易である。

14.4 周期モデル

 周期モデルは観測値の時間パターンが明確な周期性を持つ場合に適したモデルである。この定義には、本質的には等価な①時間領域、②周波数領域のそれぞれからのアプローチが存在する。

14.4.2 周波数領域からのアプローチ

 このアプローチは\mathrm{Fourier}級数展開を元にしており、考慮する周波数成分の数nを容易に操作できる点が特徴である。多くの場合緩やかな周期成分の方が解釈が容易であり、雑音への過剰適合も抑えることができる。そのためnを適度に低く抑えることで、緩やかな周期性を表現でき、周辺尤度を向上できることができる場合がある。
 一般に周期的な実信号\gamma_tについて、


\begin{aligned}
\gamma_t&=\displaystyle{\sum_{n=-\infty}^{\infty}c_ne^{in\omega_0t}}\\
&=c_0+\displaystyle{\sum_{n=1}^{\infty}\overline{c_n}e^{-in\omega_0t}}+\displaystyle{\sum_{n=1}^{\infty}c_ne^{in\omega_0t}}
\end{aligned}

\mathrm{Fourier}級数展開できる。ここで\omega_0=\displaystyle{\frac{\pi}{2}}は基本角周波数、sは(基本)周期である。
 この分解の各項について、第1項は周期性の全くない周波数=0の成分で、周期信号全体に対する上下分である。
 第2項と第3項はそれぞれ負の周波数成分と正の周波数成分の寄与を表す。負の周波数とは時計方向の回転(正の周波数とは半時計方向の回転)を意味する。状態空間モデルで実数の周期信号を考える場合、一方は無視できる。なぜならば実数の信号\gamma_tに関してはその虚部が0になるように第2項と第3項の対応項が複素共役の関係にあるためである。このため、いずれか一方に対して実部を2倍にして、直交成分(虚部)を観測行列で無視すればよい。また級数は無限和として与えられているものの、周期信号が等間隔の離散時点で考えられているため、周期s有理数である場合、標本化定理から\lfloor\displaystyle{\frac{\pi}{2}}\rfloorまでの有限和で表すことができる。
 以上を考慮して


\begin{aligned}
\gamma_t&=\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}2\overline{c_n}e^{-in\omega_0t}}\\
&=\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}\gamma_t^{(k)}}
\end{aligned}

と再定義する。ここで\gamma_t^{(k)}=2\overline{c_n}e^{-in\omega_0t}とおいており、これは時点tにおける各周波数成分である。

 続いて\gamma_t^{(k)}の時間遷移を考えると、


\begin{aligned}
\gamma_{t+1}^{(k)}=&2\overline{c_n}e^{-in\omega_0(t+1)}\\
=&2\overline{c_n}e^{-in\omega_0t}e^{-in\omega_0}\\
=&\gamma_{t}^{(k)}e^{-in\omega_0}\\
=&\left(\mathrm{Re}(\gamma_{t}^{(k)})+i\mathrm{Im}(\gamma_{t}^{(k)})\right)\left(\cos(n\omega_0)-i\sin(n\omega_0)\right)\\
=&\left(\mathrm{Re}(\gamma_{t}^{(k)})\cos(n\omega_0)+\mathrm{Im}(\gamma_{t}^{(k)})\sin(n\omega_0)\right)\\
&+i\left(-\mathrm{Re}(\gamma_{t}^{(k)})\sin(n\omega_0)+\mathrm{Im}(\gamma_{t}^{(k)})\cos(n\omega_0)\right)
\end{aligned}

が得られる。これは更にベクトル表記すれば


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
\mathrm{Re}\left(\gamma_{t+1}^{(k)}\right)\\
\mathrm{Im}\left(\gamma_{t+1}^{(k)}\right)
\end{bmatrix}
&=\begin{bmatrix}
\cos(n\omega_0)&\sin(n\omega_0)\\-\sin(n\omega_0)&\cos(n\omega_0)
\end{bmatrix}
\begin{bmatrix}
\mathrm{Re}\left(\gamma_{t}^{(k)}\right)\\
\mathrm{Im}\left(\gamma_{t}^{(k)}\right)
\end{bmatrix}\\
&=\begin{bmatrix}
\cos \omega_0&\sin \omega_0\\-\sin\omega_0&\cos\omega_0
\end{bmatrix}^n
\begin{bmatrix}
\mathrm{Re}\left(\gamma_{t}^{(k)}\right)\\
\mathrm{Im}\left(\gamma_{t}^{(k)}\right)
\end{bmatrix}
\end{aligned}

と書ける。この実部が雑音を除いた状態方程式である。
 以上を踏まえ、状態方程式および観測方程式を以下のように定義する。なおRは回転行列


\begin{aligned}
R=\begin{bmatrix}
\cos\omega_0&\sin\omega_0\\-\sin\omega_0&\cos\omega_0
\end{bmatrix}
\end{aligned}

とする。


\begin{aligned}
\boldsymbol{x}_t&=\begin{bmatrix}
\mathrm{Re}\left(\gamma_{t}^{(1)}\right)\\
\mathrm{Im}\left(\gamma_{t}^{(1)}\right)\\
\mathrm{Re}\left(\gamma_{t}^{(2)}\right)\\
\mathrm{Im}\left(\gamma_{t}^{(2)}\right)\\
\vdots\\
\mathrm{Re}\left(\gamma_{t}^{(n-1)}\right)\\
\mathrm{Im}\left(\gamma_{t}^{(n-1)}\right)\\
\mathrm{Re}\left(\gamma_{t}^{(n)}\right)\\
\mathrm{Im}\left(\gamma_{t}^{(n)}\right)
\end{bmatrix}\\
\boldsymbol{G}_t&=\begin{bmatrix}
R&     &         &          &     \\
  &R^2&         &          &     \\
  &     &\ddots&          &     \\
  &     &         &R^{n-1}&     \\
  &     &         &          &R^n
\end{bmatrix}\\
\boldsymbol{W}_t&=\begin{bmatrix}
W^{(1)}&         &         &         &         &            &            &         &       \\
         &W^{(1)}&         &         &         &            &            &         &       \\
         &         &W^{(2)}&         &         &            &            &         &       \\
         &         &         &W^{(2)}&         &            &            &         &       \\
         &         &         &         &\ddots&            &            &         &       \\
         &         &         &         &         &W^{(n-1)}&            &         &       \\
         &         &         &         &         &            &W^{(n-1)}&         &       \\
         &         &         &         &         &            &            &W^{(n)}&       \\
         &         &         &         &         &            &            &         &W^{(n)}
\end{bmatrix}\\
\boldsymbol{F}_t&=\begin{bmatrix}1,0,1,0,\cdots,1,0,1,0\end{bmatrix}\\
V_t&=V
\end{aligned}

とする。

14.5 ARMAモデル

 \mathrm{ARMA}(p,q)モデル


\begin{aligned}
y_t=\displaystyle{\sum_{j=1}^{r}\phi_jy_{t-j}}+\displaystyle{\sum_{j=1}^{r-1}\psi_j\varepsilon_{t-j}}+\varepsilon_t
\end{aligned}

を状態空間モデルで考えることにする。ここでr=\max\left\{p,q+1\right\}である。
 ここでは可観正準形による表現を考えると、


\begin{aligned}
\boldsymbol{x}_t&=\begin{bmatrix}
x_t^{(1)}\\
x_t^{(2)}\\
\vdots\\
x_t^{(r-1)}\\
x_t^{(r)}
\end{bmatrix},
\boldsymbol{G}_t&=\begin{bmatrix}
\phi_1    &1 & &         &  \\
\phi_2    &  &1&         &  \\
\vdots   &  & &\ddots&  \\
\phi_{r-1}&  & &         &1\\
\phi_r     &0&0&\cdots&0
\end{bmatrix},\\
\boldsymbol{W}_t&=\boldsymbol{R}{}^{t}\boldsymbol{R}\sigma^2,\\
\boldsymbol{F}_t&=\begin{bmatrix}1,0,\cdots,0,0\end{bmatrix},\\
V_t&=0
\end{aligned}

とおけばよい。ここで\boldsymbol{R}={}^{t}\begin{bmatrix}1,\psi_1,\cdots,\psi_{r-2},\psi_{r-1}\end{bmatrix}であり、\sigma^2はホワイトノイズ\varepsilon_tの分散である。

参考文献

  • 沖本竜義(2010)「経済・ファイナンスデータの 計量時系列分析」(朝倉書店)
  • 北川源四郎(2020)「Rによる時系列モデリング入門」(岩波書店
  • 柴田里程(2017)「時系列解析」(共立出版)
  • 白石博(2022)「時系列データ解析」(森北出版)
  • 萩原淳一郎,瓜生真也,牧山幸史[著],石田基広[監修](2018)「基礎からわかる時系列分析 Rで実践するカルマンフィルタ・MCMC・粒子フィルタ」(技術評論社)
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