「大人の教養・知識・気付き」を伸ばすブログ

一流の大人(ビジネスマン、政治家、リーダー…)として知っておきたい、教養・社会動向を意外なところから取り上げ学ぶことで“気付く力”を伸ばすブログです。データ分析・語学に力点を置いています。 →現在、コンサルタントの雛になるべく、少しずつ勉強中です(※2024年1月21日改訂)。

MENU

時系列解析の基礎(26/XX)

 以下の書籍

を中心に時系列解析を勉強していきます。

14. 線形・Gauss型状態空間モデルにおける代表的な成分モデル

 状態空間モデルでは、個別の基本的なモデルを部品のように組み合わせて利用することが容易である。

14.3 ローカルトレンドモデル

 ローカルトレンドモデルは線形成長モデルと呼ばれ、レベルを推定する際に線形な傾き(トレンド)が考慮される。
 ローカルトレンドモデルは一般的に次数2多項式モデルである。一般的な多項式モデルは


\begin{aligned}
x_{t}^{(n)}&=x_{t-1}^{n)}+x_{t-1}^{(n-1)}+w_t^{(n)},&w_t^{(n)}\sim N(0,W^{(n)})\\
x_{t}^{(1)}&=x_{t-1}^{(1)},&w_t^{(1)}\sim N(0,W^{(1)})\\
y_t&=x_t^{(N)}+v_t,&v_t\sim N(0,V)
\end{aligned}

と書ける。これを行列・ベクトルを用いて書き直すと


\begin{aligned}
\boldsymbol{x}_t&=\begin{bmatrix}
x_t^{(n)}
\vdots\\
x_t^{(2)}\\
x_t^{(1)}
\end{bmatrix},\\
\boldsymbol{G}_t&=\begin{bmatrix}
1&1&         &         &\\
  & &\ddots&\ddots&         \\
  & &         &1&1\\
0&0&\cdots&0&1
\end{bmatrix},\\
\boldsymbol{W}_t&=\begin{bmatrix}
W^{(n)}&         &         &         \\
         &\ddots&         &         \\
         &         &W^{(2)}&         \\
         &         &         &W^{(1)}
\end{bmatrix},\\
\boldsymbol{F}_t&=\begin{bmatrix}1,0,\cdots,0\end{bmatrix},\\
V_t&=V
\end{aligned}

とおけばよい。
 多項式モデルは実用上、データを生成する仕組みが明確にそれら以外に適合しない限り、ほぼローカルレベルモデル(n=1)とローカルトレンドモデル(n=2)しか用いられない。

14.4 周期モデル

 周期モデルは観測値の時間パターンが明確な周期性を持つ場合に適したモデルである。この定義には、本質的には等価な①時間領域、②周波数領域のそれぞれからのアプローチが存在する。

14.4.1 時間領域からのアプローチ

 周期性のあるデータは、1周期分の周期成分合計がいずれの周期でもほぼ変わらない値になると想定される。ただし揺らぎが存在するとし、更にその揺らぎが正規分布に従うと考えると、ある周期sをもち周期成分がx_tであるような周期性のあるデータでは


\begin{aligned}
\displaystyle{\sum_{t=1}^{s}x_t}=w_t,\ w_t\sim N\left(0,W\right)
\end{aligned}

が成り立つ。
 周期sを持っているとき、第t-1周期目の時点s-1の値x_{t-1}^{s-1}から翌時点s、すなわち翌t周期目の時点1における値x_{t-1}^{s}=x_{t}^{1}t-1周期目の時点1,2,\cdots,s-1で表現できることに注意すれば、

   x_{t}^{(1)} \leftarrow -x_{t-1)}^{(s-1)}-x_{t-1)}^{(s-2)}-\cdots-x_{t-1)}^{(1)}+w_t
   x_{t}^{2} \leftarrow x_{t}^{(1)}
     \vdots  
   x_{t+1}^{1} \leftarrow x_{t}^{(s-1)}

という関係で表現できる。したがって


\begin{aligned}
\boldsymbol{x}_t&=\begin{bmatrix}
x_t^{(n)}
\vdots\\
x_t^{(s-1)}\\
x_t^{(1)}
\end{bmatrix},\\
\boldsymbol{G}_t&=\begin{bmatrix}-1&\cdots&-1 &-1\\
1& &&& \\
  &\ddots& &&\\
 &&1& 
\end{bmatrix},\\
\boldsymbol{W}_t&=\begin{bmatrix}
W&         &         &         \\
         &0&&         \\
         &&\ddots&         \\
         &         &         &0
\end{bmatrix},\\
\boldsymbol{F}_t&=\begin{bmatrix}1,0,\cdots,0\end{bmatrix},\\
V_t&=V
\end{aligned}

とおけばよい。

参考文献

  • 沖本竜義(2010)「経済・ファイナンスデータの 計量時系列分析」(朝倉書店)
  • 北川源四郎(2020)「Rによる時系列モデリング入門」(岩波書店
  • 柴田里程(2017)「時系列解析」(共立出版)
  • 白石博(2022)「時系列データ解析」(森北出版)
  • 萩原淳一郎,瓜生真也,牧山幸史[著],石田基広[監修](2018)「基礎からわかる時系列分析 Rで実践するカルマンフィルタ・MCMC・粒子フィルタ」(技術評論社)
プライバシーポリシー お問い合わせ