証券投資(現代ポートフォリオ理論)をコンパクトに学ぶべく、比較的最近に発刊され薄めの本である
を参考に学んでいく。
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3. ポートフォリオ理論
3.4. 平均=分散モデルと期待効用最大化問題
投資家の効用関数がポートフォリオのリターンの2次式で表されるものとする。投資家がリスク回避的ならば平均=分散モデルが期待効用最大化問題と整合的であることを示す。
である、すなわち投資家がリスク回避的であることと整合的になるように、
と仮定する。このときの範囲でであるから単調増加でもある。期待効用は
と書ける。これは期待効用がポートフォリオの期待リターンおよびリスクで表されることを意味する。
またこれを期待リターンに関して微分することで
が得られる。これは期待リターンの増加が期待効用を向上させ、リスクの増大は期待効用を減らすことを意味する。
3.5. 平均=分散モデルと正規分布の仮定
次にポートフォリオのリターンが正規分布に従うと仮定する。さらにとおけば、
である。したがって期待値の定義から期待効用は、とおけば
である(ここでは標準正規分布の確率密度関数である。)。これを期待リターンで微分すると
を得る。は増加関数であるからであり、期待効用は期待リターンの増加関数である。
またリスクに関して微分すればを用いることで
を得る。
投資家がリスク回避的であればであるから、リスクに対して期待効用は減少関数である。したがって投資家がリスク回避的で、ポートフォリオのリターンが正規分布に従うならば平均=分散モデルと期待効用最大化問題とは整合的である。
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