業務でC#を用いることになったので、最近勉強していなくて朧気になってきた知識をReviseする意味でも、以下の書籍を読みながらC#で実装してみる。統計学については別書で触れたいため大幅にカットします。今回はP.170-174まで(当分は実装なしが続きます)。
6. 確率過程の基礎
6.2 確率微分方程式
前回導出した確率差分方程式を微小にすることで
を得る。
独立な正規分布の和は正規分布に従うことに注意すれば、
について、に従うから、
ただし、一般にはドリフトおよび拡散係数はと定数ではなく、その場合には上記は成り立つとは限らない。
確率微分方程式
が所与であり、その差分方程式として
が存在している(上記差分方程式の極限は最初に掲げた確率微分方程式である)とする。
とおき、とすれば、この差分方程式は
と書ける。乱数を生成することで、のサンプルパスを描くことが出来る。
いくつか具体的なモデルを考えてみよう。
6.2.1 バシチェック・モデル
とし とおく。すなわち確率微分方程式
を考える。これは短期金利について、平均回帰性をドリフト項で表現しまた簡単化のために拡散係数(ボラティリティ)が定数であるようなモデル化を施したものである。これをVasicekモデルという。
これに対応した差分方程式は
である。
図1 Vasicekモデルのサンプルパス
()
6.2.2 CIRモデル
とし とおく。すなわち確率微分方程式
を考える。Vasicekモデルの拡散係数をに変更したもので、これはCIRモデルという。は、に近づくと拡散係数もに近づく一方で瞬間的な変異の平均値は正なので、ほぼ確実には増加方向に向かうため、は正になる。
これに対応した差分方程式は
である。
図2 CIRモデルのサンプルパス
()