「大人の教養・知識・気付き」を伸ばすブログ

一流の大人(ビジネスマン、政治家、リーダー…)として知っておきたい、教養・社会動向を意外なところから取り上げ学ぶことで“気付く力”を伸ばすブログです。データ分析・語学に力点を置いています。 →現在、コンサルタントの雛になるべく、少しずつ勉強中です(※2024年1月21日改訂)。

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ファイナンス練習(2021年09月08日)

 業務でC#を用いることになったので、最近勉強していなくて朧気になってきた知識をReviseする意味でも、以下の書籍を読みながらC#で実装してみる。統計学については別書で触れたいため大幅にカットします。今回はP.170-174まで(当分は実装なしが続きます)。

6. 確率過程の基礎

6.2 確率微分方程式

 前回導出した確率差分方程式を微小にすることで


\begin{aligned}
dX(t)=\mu dt+\sigma dz(t)
\end{aligned}

を得る。
 独立な正規分布の和は正規分布に従うことに注意すれば、


\begin{aligned}
X(dt)-X(0)&=\mu dt+\sigma(z(dt)-z(0))\\
X(2dt)-X(dt)&=\mu dt+\sigma(z(2dt)-z(dt))\\
\cdots\\
X(ndt)-X( (n-1)dt)&=\mu dt+\sigma(z(ndt)-z( (n-1)dt))
\end{aligned}

について、X( (k+1)dt)-X(kdt)\sim N(\mu dt,\sigma^2dt)に従うから、


\begin{aligned}
\sum_{k=0}^{N-1}[X( (k+1)dt)-X(k dt)]=X(N dt)-X(0) \sim N(\mu Ndt, \sigma^2Ndt)
\end{aligned}

ただし、一般にはドリフトおよび拡散係数は\mu=\mu(x,t), \sigma=\sigma(x,t)と定数ではなく、その場合には上記は成り立つとは限らない。
  確率微分方程式


\begin{aligned}
dX(t)=\mu(X(t),t) dt+\sigma(X(t),t) dz(t)
\end{aligned}

が所与であり、その差分方程式として


\begin{aligned}
\Delta X(t)=\mu(X(t),t) \Delta t+\sigma(X(t),t) \Delta z(t)
\end{aligned}

が存在している(上記差分方程式の極限は最初に掲げた確率微分方程式である)とする。
 \Delta t=T/Nとおき、X_n=X(n\Delta t)とすれば、この差分方程式は


\begin{aligned}
X_{n+1}=X_n+\mu(X_n,n\Delta t) \Delta t+\sigma(X_n,n\Delta t) \Delta z(t)
\end{aligned}

と書ける。乱数\Delta z(t)\sim N(0,\Delta t)を生成することで、X_nのサンプルパスを描くことが出来る。

 いくつか具体的なモデルを考えてみよう。

6.2.1 バシチェック・モデル

 X(t)=r(t)とし\mu(X(t),t)=a(m-r(t)), a,m\gt0, \sigma(X(t),t)=\sigma\in\mathbb{R},\sigma\gt0とおく。すなわち確率微分方程式


\begin{aligned}
dr(t)=a(m-r(t))dt+\sigma dz(t)
\end{aligned}

を考える。これは短期金利について、平均回帰性をドリフト項で表現しまた簡単化のために拡散係数(ボラティリティ)が定数であるようなモデル化を施したものである。これをVasicekモデルという。
 これに対応した差分方程式は


\begin{aligned}
r_{n+1}=r_n+a(m-r_n)\Delta t+\sigma \Delta z(t)
\end{aligned}

である。


図1 Vasicekモデルのサンプルパス
(r_0=0.1,m=0.05,a=0.01,\sigma=0.1,T=250)
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6.2.2 CIRモデル

 X(t)=r(t)とし\mu(X(t),t)=a(m-r(t)), a,m\gt0, \sigma(X(t),t)=\sigma\in\mathbb{R},\sigma\gt0とおく。すなわち確率微分方程式


\begin{aligned}
dr(t)=a(m-r(t))dt+\sqrt{r(t)}dz(t)
\end{aligned}

を考える。Vasicekモデルの拡散係数を\sqrt{r(t)}に変更したもので、これはCIRモデルという。r(t)は、0に近づくと拡散係数\sigma\sqrt{r(t)}0に近づく一方で瞬間的な変異の平均値は正なので、ほぼ確実にr(t)は増加方向に向かうため、r(t)は正になる。
 これに対応した差分方程式は


\begin{aligned}
r_{n+1}=r_n+a(m-r_n)\Delta t+\sqrt{r_n}\Delta z(t)
\end{aligned}

である。


図2 CIRモデルのサンプルパス
(r_0=0,m=0.05,a=0.01,\sigma=0.1,T=250)
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