業務でC#を用いることになったので、最近勉強していなくて朧気になってきた知識をReviseする意味でも、以下の書籍を読みながらC#で実装してみる。統計学については別書で触れたいため大幅にカットします。P.164-170まで(当分は実装なしが続きます)。
6. 確率過程の基礎
6.1 ランダムウォークとブラウン運動
離散的な時間を考え、時点の集合をとする。各に対して、確率変数を
で定義し、これらは独立である。更にとしての部分和
と考える。この確率過程をランダムウォークという。
ランダムウォークでは、を成功、を失敗と見なせば、回の試行のうち回成功すれば
となるので、である。すなわち
である。
6.2 二項モデル
をある時点における株価とする。時点における株価がであるときに次の時点において確率でとなり確率でになると仮定する()。このような価格仮定をもつモデルを二項モデルと呼ぶ。
とすれば二項モデルと整合的である。
6.3 Brown運動
刻み()を無限に小さくしたら()、ランダムウォークはどのような振る舞いをするだろうか。
改めて
とおく()。
充分に小さなに対して
とし、は独立であるとする。また時間間隔と状態間隔が
を保つものとする。このとき、充分に小さなに対して得られるランダムウォークはBrown運動を近似する。
のときであるから、Brown運動は連続な経路を持つ連続時間確率過程であり、また
である。したがってが互いに独立であることに注意すれば
であり、のときBrown運動に収束するから、Brown運動であることが分かる。
またに対して
であり、が互いに独立であることから、ランダムウォーク、ひいてはBrown運動は任意時点間の差分が独立である。この性質を独立増分という。更に上述と同じ議論から、である。
逆に
- 増分がそれまでの経路とは独立である
- 独立増分は正規分布に従う()、
- 経路が連続である
ような確率過程はBrown運動のみであることが知られている。
以上を用いて、Brown運動を以下で定義する:
連続確率過程が以下の3つの性質を持つとき、Brown運動であるという:
- 増分はと独立である。
- 増分である。
- 経路は連続である。
以上で示した通り、であるから、
で定義される過程は平均が、分散であるような正規分布に従う。このとき、をドリフト、を拡散係数と呼ぶ。
*1:年次期待リターンおよび年次リスクと見なし、それらを日次に変換した。