- 1.今日のポイント
- 2. ニュース(1):欧州復興基金が縮小する可能性が
- 3. ニュース(2):荒れる南米
- 4. ニュース(3):スイスでのマネー・ロンダリング
- 5. ニュース(4):敵基地攻撃論に慎重論が噴出
2. ニュース(1):欧州復興基金が縮小する可能性が
(1) 知っておきたいこと
EU当局は、当初7,500億ユーロ規模のファンド組成を想定し、5,000億ユーロを返済が必要ない補助金として交付し、残り2,500億ユーロは融資として提供するよう提案していた*1。観光が重要な経済資源である南欧及び独仏が先導するのに対し、オランダやオーストリア、デンマーク、スウェーデンが倹約派として反対に回っているのだという*2。
(図表1 ギリシャ5年物CDSのプレミアム推移)
(出典:World Government Bonds)
欧州の混乱が再び世界情勢の混乱をもたらすのかもしれない。
(2) まとめ
- 欧州は混乱の最中にある
- 南欧が再びその根源となるのか
3. ニュース(2):荒れる南米
https://en.mercopress.com/2020/07/16/riots-in-santiago-as-congress-considers-bill-to-allow-chileans-to-withdraw-part-of-their-pension-fundsen.mercopress.com
(1) 知っておきたいこと
チリはラテンアメリカ諸国の中でもこれまで安定した経済状況を享受してきた。それは銅に支えられたものであった。
(図表2 銅鉱山生産量の長期推移)
(出典:石油天然ガス・金属鉱物資源機構*3)
ではその銅価格がこのコロナを受けて暴落し、チリ経済が破綻しているのかといえばそうとは言えない。確かにコロナを受けて銅価格は今年の第一四半期に暴落をしたものの、今やその前の水準にまで回復しているのだ。
(図表3 直近5年の銅価格推移)
(出典:Macro Trends*4)
もちろん3か月も経済が低迷すれば国家経済に大きな影響を与えるのは言うまでもないし、貯蓄率が高いわけでもない。とはいえここまで荒れる必要があるのだろうか。
対照的に、ペルーに注目が集まっている点が筆者には興味深く映る。南米においてボラティリティーを演出し、マーケットの乱高下を意図的に作っているかのようなのである。
こうした観点から南米の動向に注目したい。
(2) まとめ
- 南米での暴動は不自然に思えるときがある
- 南米国家を見る際には、米大陸全体で「下げられている国」と「上げられている国」が存在する点に注目したい
4. ニュース(3):スイスでのマネー・ロンダリング
https://www.nzz.ch/zuerich/bezirksgericht-zuerich-18-monate-bedingt-fuer-goldschmelzer-ld.1566479www.nzz.ch
(1) 知っておきたいこと
- 強盗から得た金宝飾品を鋳金しなおして販売した金業者が逮捕された
- しかし一部の罪については無罪であるとの審理が得られた
先日の中国企業による偽金にはじまり、ここ最近、金に関連した事件が多発している。
言うまでもなく、その背景には金価格の高騰がある。
(図表4 金価格の推移)
(出典:三菱マテリアル*5)
この高騰を受けてこのような議論があることに注意したい:
すなわち通貨を刷新すべくかつてのように金塊を担保としたドルを作ろうというものである。この議論が怪しいと言わざるを得ないのは言うまでもないが、とはいえこのような議論が出ていること自体に注目したい。すなわちそれだけ現在の通貨システムや経済状況について疑問が集まっているということだ。すでにコモディティ建ての仮想通貨はかなりの数だけ発行されていることには注目したい。
(2) まとめ
- 金価格はかつてないほどに上昇している
- 金建て通貨を発行する議論が沸騰している
5. ニュース(4):敵基地攻撃論に慎重論が噴出
(1) 知っておきたいこと
素朴に疑問となるのは、敵基地を攻撃するというのは戦争をもたらすこととなる点だ。となれば、こうした攻撃を前提とした行為が諸外国の反発をもたらすのは明らかだ。他方でそうであるならば、米国に依存するのかという反論になる。
これまで(特に昭和期)の日本は、安全保障を基本的には米国に依存することで防衛費の負担を避ける一方で経済発展に浮いた分を振り向けてきた。それがもはや機能しなくなりつつある。米国が撤退しつつあるからだ。
となると我々が取れる選択肢は2つある:
- 軍隊をもって自衛する:安全保障費が負担になるとともに如何に兵隊を確保するのかが課題となる
- 永世中立国のように非武装を宣言する:それを機能するには、日本に攻撃するとすべての国が被害を受ける状況にならなければならない。たとえば貿易上のハブであるとか世界中に供給する技術があるなどである
いずれにしても困難な道ではあるが、どうするかを決めてそれに向けて動かないといけない
(2) まとめ
- 昭和の国家モデルはもはや終わりである
- 次の国家方針を決断しなければならない