「大人の教養・知識・気付き」を伸ばすブログ

一流の大人(ビジネスマン、政治家、リーダー…)として知っておきたい、教養・社会動向を意外なところから取り上げ学ぶことで“気付く力”を伸ばすブログです。データ分析・語学に力点を置いています。 →現在、コンサルタントの雛になるべく、少しずつ勉強中です(※2024年1月21日改訂)。

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今日のニュース(2020年7月15日)

1.今日のポイント

●【カナダ】極右団体がユダヤ人の排斥を主張
●【ベラルーシロシアへ接近
●【中朝】中国遼寧省当局が鴨緑江で洪水対策訓練を実施
●【日本】漁夫の利を狙う英国と安全保障

2. ニュース(1):カナダとユダヤ

www.jpost.com

(1) 知っておきたいこと

 カナダはG7の一員ではあるが、必ずしもわが国で目立っている国とは言い難い。しかし様々な鉱物資源を有し、他方で英ヘンリー王子夫妻が居住するなど不気味な存在感を示しているのがその実態である。あまり知られていないようだが、カナダは英連邦に属し、英国から総督が派遣されているのである。
 そのカナダは今、米国と係争を抱えている。USMCAの締結を受けて北米とメキシコの関係が新たな段階に入ったものの、米加はアルミニウムの制裁関税を巡り対立しているのである。

www.nytimes.com

 カナダはその歴史上、英国だけでなくフランスとも関係を有しているのであり、他方で米国とも陸で続いている。現首相であるトルドーの父親であるトルドー元首相の政策を受けて多元主義を実現してきた。その結果、カナダは米大陸と欧州をつなぐリンクとなっているのである。トランプ米大統領が米国を封鎖し、かたや英国はBREXITで大陸欧州から離脱している中で、カナダの位置合いは重要だったのである。
 そのカナダで反ユダヤ主義が勃興するということはそのリンク=ハブとしての位置合いを失い得る事態なのであり、今や「バイデン大統領」に近づきつつある米国と共にこれまでの動きが逆にシフトする可能性を暗示していると評価できるのである。

(2) まとめ

  • カナダは目立たないものの欧米にとって重要なハブになり得る国家である
  • その政治の転換は欧米の動きにも影響を与えるし、その動きとリンクしているので要注目である

3. ニュース(2):ベラルーシとロシア

iz.ru

(1) 知っておきたいこと

  • ロシアとベラルーシの間で三つの覚書が結ばれた
  • そのうちの一つはベラルーシの首都ミンスクまでをつなぐ石油パイプライン敷設に関わる借款をロシアから受けることに合意するものであった

 ロシアの対欧州政策にとってベラルーシは無視しえない国家である。パイプラインを欧州へ向けるためには同国を通す必要があるからだ。


図表1 ベラルーシを通る原油パイプライン
f:id:suguru_125:20200715075006g:plain(出典:Jamestown Foundation*1

 しかしベラルーシソ連崩壊後、ロシアと一定程度の距離を保ってきたのだった。それが、ルカシェンコ大統領は現在、ロシアへと接近しつつある。大統領選で苦戦する同大統領が後ろ盾を得るべく行っていると考えている。

www.lemonde.fr

 他方で、ベラルーシとロシアは(塩化)カリウム生産において世界的に重要な国家である。カリウム市場はベラルーシベラルーシカリー、ロシアのウラルカリーとカナダのカンポテックス(米モザイク(証券番号:MOS)(※8)の持分法子会社)が三大企業として知られている下線マーケットである。そのベラルーシカリーとウラルカリーの関係をまとめるとこうなる*2

  • 「ウラルカリー」はソ連国営企業で1992年に民営化した。他方で「ベラルーシカリー」は同じくソ連国営企業であるが、1990年代に民営化を拒み、ベラルーシ政府から支援を受けることを選択した。両社とも世界最大級のカリウム生産会社である。両社は2005年までほぼ同量のカリウムを採掘、販売していたが、同年に合弁会社ベラルーシ・カリー会社」(BKK)を設立し、同社を通じて肥料を海外に販売するようになった。これにより、世界マーケットの45パーセント弱を支配し、カナダの競合「カンポテックス」と効率的に競うことができた
  • 「ウラルカリー」の大口株主は、ロシアの億万長者であるスレイマン・ケリモフである(註:現在は異なる)。最高経営責任者はウラジスラフ・バウムゲルテルである。「ベラルーシカリー」の株式は、100パーセントをベラルーシ政府が保有している
  • ケリモフを代表とするロシア側は2011年に「ベラルーシカリー」の株式を取得し経営権を握ろうとしたものの、価格面で折り合わず交渉は決裂した。ベラルーシにとって「ベラルーシカリー」は最高額の資産である。肥料の原料(シルビナイト)以外、ベラルーシには自国の有用鉱物がない
  • 2012年末、内部意見の相違が対立に発展した。まずベラルーシのルカシェンコ大統領の指示で、「ベラルーシカリー」はBKKを通さずに、独自にカリウムを輸出し始めた。「ウラルカリー」は今夏、対抗措置として同じことを実施し、「ベラルーシカリー」との合弁を解消し、BKKを通じた共同輸出を拒否した
  • この対立は最終的に、バウムゲルテル最高経営責任者の逮捕を招いた。ミンスクに交渉に訪れた同人は2013年8月26日、職権乱用ならびにベラルーシのパートナーに1億ドル(約100億円)の損害を与えたとして、拘束された。大口株主のケリモフにも同様の容疑がかけられた

この騒動によって炭酸カリウム・マーケットで価格下落が起こり、7月に1トンあたりの価格が400ドル(約4万円)だったのが、11月には305ドルから310ドル(約3万500円から3万1,000円)にまで下がった

  • バウムゲルテルには、モスクワに戻る代わりに「ウラルカリー」の所有者を変えるという交換条件がベラルーシからつきつけられた。ケリモフの出資比率(21.75パーセント)に興味を示したのは、ロシアでもっとも大きな投資基金の1つであり、オリガルヒで政治家のミハイル・プロホロフの基金である「統合輸出入(ONEKSIM)」であった

resource.ashigaru.jp

その両国が連合することがあれば、肥料として重要なカリウムの市場に変化が起こるかもしれない。

(2) まとめ

4. ニュース(3):中国の治水問題

japanese.joins.com

(1) 知っておきたいこと

  • 中国遼寧省当局が鴨緑江で最近大規模な洪水に備えた訓練をした
  • この夏に鴨緑江でも大洪水が発生する可能性があるとの警告が続いていることがその理由である

 中国と北朝鮮の間は鴨緑江によって隔てられている。
 北朝鮮にとって鴨緑江は重要な意味を持つ河川である。まず朝鮮統治時代末期にこの鴨緑江に設けられた水豊ダムは未だに水力発電を通じて北朝鮮の電力事情を支えている。また鴨緑江白頭山から流れているのだが、その白頭山北朝鮮にとって“聖地”なのであって、そこから流れている鴨緑江はそれはそれで象徴的な意味を持つのである。
 が、この鴨緑江の治水はうまくいっているとは言い難い*3

過去の大洪水事例も不安感を育てる要素だ。1995年と2010年夏に鴨緑江が氾濫し、丹東と新義州地域が大きい被害を受けた。特に95年の場合、新義州全域が浸水し廃虚同然になった。2010年8月にも新義州と義州郡(ウイジュグン)は水害を受けた。

 中国は今、集中豪雨に起因する水害が発生する危機に直面している:

www.epochtimes.jp

そうした中で一つでも災害が発生してしまえば、中国当局への信頼が更に低下することとなる。コロナに加え、こうした“ミス”が生じれば、中国共産党の解体に向けて更に中国は分裂への道へと進んでいくのだ。

(2) まとめ

  • 中国の水害に対する警戒は最高水準にまで高まっている
  • 北朝鮮のことを思いやっているとは言い難い

5. ニュース(4):防衛白書

mainichi.jp

(1) 知っておきたいこと

 この白書を巡っては、中国への危機感がまだまだ薄いといった声*4中韓からの反発が生じている。こうした東アジアの緊迫化は格好のビジネス・チャンスでもある。たとえばこれだ。

www.recordchina.co.jp

 しかし、このF35開発計画にしても、疑問符が指摘されている。一つは開発期間が短すぎるという点だ。米国の戦闘機開発にしても、20年弱はかかっていると聞いたことがある。それを踏まえるならば、短すぎる。それに兵器開発は基本的にコスト管理等、かなり杜撰であることが知られている。不正の温床になるのかもしれない。
 それはそれとしてより気になるのが英国の動きである。近年、英国は安全保障分野で日本に近づいてきた。

www.tokyo-np.co.jp

東アジアから英国は地理的に離れている。すなわちここで戦争が生じたとして、被害を受ける蓋然性は低いのである。逆に言えばここで戦争が発生しビジネス・チャンスが生じるのはありがたいことともいえるのだ。冷徹に東アジアの緊張で裨益する主体を見極めていきたい。

(2) まとめ

  • 東アジアの地政学的リスクは確かに増大してきた
  • そこで裨益する欧州の存在を忘れてはならない
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