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一流の大人(ビジネスマン、政治家、リーダー…)として知っておきたい、教養・社会動向を意外なところから取り上げ学ぶことで“気付く力”を伸ばすブログです。データ分析・語学に力点を置いています。 →現在、コンサルタントの雛になるべく、少しずつ勉強中です(※2024年1月21日改訂)。

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今日のニュース(2020年7月9日)

1. マーケット指標

※今日は省略

2.今日のポイント

●【中欧反政府活動は非公然活動?
●【天然ガス「ガス版OPEC」構想は可能か?
●【米サウジアラビアサウジアラビアによるスパイ活動
●【日本】SBIグループによる地銀獲得は進む

3. ニュース(1):中欧での反政府活動は誰が主導しているのか?

www.lemonde.fr

(1) 知っておくべきこと

  • 中欧でかつてない規模での反政府デモが生じている
  • 新型コロナウィルスを封じるための自粛措置が反感を買っているという

 中欧、特にセルビアにおいて数千人規模のデモが生じており、同国の大統領は苦境の最中にある*1
 素朴に気になるのは、ロシアのプラウダ紙がこのような「陰謀論」とも考えられるような論考を公開している点だ:

www.pravda.ru

 確かにセルビアはロシア寄りの国家であり、他方でコソボ紛争において「敵」役を与えられた。しかしそのセルビアで反政府活動を誘導したとして、特段大きな意義があるとは考え難い。あえて気になる点を挙げるのであれば、これだろう:

www.aa.com.tr

 コソボセルビアの間で和平に向けた合意に向けて欧州連合EU)が動いてきた。こうした中で政府が転覆することとなれば、この和平も白紙に戻る可能性がある。ボスニア紛争コソボ紛争は、現在では一般的になっているドローンが湾岸戦争に続き本格的に実戦投入されたことで知られている。グローバル(特に欧州)経済をますます混乱させるために、戦争経済を演出するために、行っているということであれば少なくとも筋は通る(妥当とは思えないが)。

(2) まとめ

  • コソボセルビアでの和平交渉が白紙に至る可能性がある
  • 非公然(スパイ)活動を疑うのは少し疑問が残る

4. ニュース(2):天然ガス版「石油輸出国機構」構想は可能か?

iz.ru

(1) 知っておくべきこと

  • ロシアのアレクサンドル・ノヴァク・エネルギー担当大臣が先週、天然ガス版「石油輸出国機構OPEC)」創設に向けた交渉開始を宣言した
  • ロシアから米国までのあらゆる供給者が急激なガス価格の下落に対抗することを目的とする

 OPEC創設の歴史を振り返るならばこうである*2

国際石油会社は、原油実勢価格の一般的低下傾向を反映させて、1959、1960年の両年、相次いで産油国に支払う所得税の算定基準となる公示価格を引き下げた。このことによって国際石油会社は、産油国への所得税支払いを削減することができたが、逆に産油国は、石油収入の減少に対する危機感を抱き、これに対する防衛的手段の必要性を強く認識するようになった。

1960年9月、イラク、イラン、クウェートサウジアラビアおよびベネズエラの5ヵ国は、イラクの首都バグダッドで石油輸出国会議を開催し、参加国の定期的協議を目的とした恒久的機関、石油輸出国機構(Organization of Petroleum Exporting Countries:OPEC)の設立を決議した。

設立時における具体的な目的は、「石油各社が石油価格を安定させ、不必要ないかなる変動もないように維持すること」を加盟国が要求し、「自らの判断によるあらゆる方法により、現行価格を値下げ以前に一般的であった水準に回復し、確定すること」であった。

 これに追加するならば、1960年代までの間、原油マーケットは英仏といった旧宗主国、さらにはセブン・シスターズと呼ばれた石油メジャーに独占されてその価格を低めに固定されていたことを想起されたい。

 さてこの天然ガスOPEC構想を分析するにあたっては、以下の3つを考える必要があるだろう:

  • 誰をターゲットにしているのか?
  • 誰が裨益するのか?
  • 誰が参加し得るのか?
  • 創設が成功する蓋然性はあるのか?

 まずターゲットは誰なのか。OPEC創設のときは、石油メジャーによる寡占体制を打破して原油収入を産油国にもたらすことが根本的な目的であった。ではこのガス版OPECでは誰の交渉力を前提とした動きなのだろうか。ここで真っ先に浮かぶのは中国である*3

Because Russia will compete against other pipelines supplying gas to China, including from Turkmenistan and Myanmar, as well as against shipments of sea-borne liquefied natural gas (LNG), China is in a favorable bargaining position. Contract details have not been made public, but it is safe to assume that Russian gas to China will be sold at lower margins compared to European shipments(註:下線太字は引用者が追加)

(図表1 2019年12月より中国へのガス供給を開始したシベリア・パイプライン)
f:id:suguru_125:20200709120436j:plain(出典:Radio Free Europe*4

 ロシアにとっての最大の顧客の一人である中国は、ロシアに対する交渉力が強いことで専門家の間では有名である。また各国で資源獲得をすべく中国企業が進出している一方で、ガス価格の低迷する中で産ガス国が中国企業への反感を有するのは疑いようもない。このような事情から中国こそが一番の標的であると言える。
 なお欧州もロシアの重要顧客ではあるが、ノルド・ストリーム2の敷設前からロシアへの依存を自発的に深めているあたり、ロシアにとって、少なくとも中国よりは「好ましい」顧客でありこの標的とは言い難い。わが国も天然ガス価格の底上げになるために被害は受けるものの、ここでも重要なターゲットとは言えない。

 他方で誰が裨益し得るのか。逆に言えば誰が割を喰うことになるのか。特に考えなければならないのが、米国が裨益し得るという発言が正しいのかどうかである。

(図表2 2018年のグローバルにおける天然ガスの輸出入事情)
f:id:suguru_125:20200709122133j:plain(出典:BP Statistical Review of World Energy 2019*5

(図表3 地域別天然ガス生産量の推移)
f:id:suguru_125:20200709122244j:plain(出典:同上)

 このように既存ビジネスから見れば、確かに米国とロシア、更には他の産ガス国では棲み分けがある程度確立されており対立するとは言い難い。したがって米国が参加するかは別として、実際に裨益すると結論付けても良いだろう。

 では誰が参加し得るのだろうか。産ガス国は誰でも参加したいと考えるかもしれないが、ここには国際政治における各国の思惑もあり得るため、全員がそうとは言い難い。
 まず米国だが、ロシアがプレゼンスを高めようとするこの機構に参加することは考えづらい。参加することになったのならば、一大事であり、中国を対象にして更なる包囲網が構築されたと見なすべきだ。他方で有数の産ガス国であるノルウェーは参加しないと考える。脱化石燃料を既に謳っているからである。せいぜいオブザーバーどまりであろう。

(図表4 イスラエルによるガス・パイプライン)
f:id:suguru_125:20200709123501p:plain(出典:Deutsche Welle*6

 もう1つ考えておきたいのは、イスラエルが参加できるのか、である。ユダヤ人問題を巡りロシアとは微妙な関係にあるイスラエルは、意外にも地中海において有力なガス供給者である。とはいえ、世界的にも有数のガス生産国であるイランとともにここに参加できるのかがミソである。判断は難しいが参加しても不思議ではない。

 最後にガス版OPECの創設であるが、充分にあり得るというのが私見である。少なくともロシアにとってこの創設は、国家の存亡の面で至上命題であるのは言うまでもない。中東でのプレゼンスをロシアが高めている以上、この議論に注目しておいて間違いはないだろう。

(2) まとめ

  • ガス版OPECは中国をターゲットにしている
  • ガス版OPEC構想は十分に実現し得る

5. ニュース(3):サウジアラビアによる米国でのスパイ活動

https://www.nzz.ch/international/saudiarabien-spitzel-sind-im-silicon-valley-auf-der-jagd-ld.1553176www.nzz.ch

(1) 知っておくべきこと

  • Twitterの元従業員がサウジアラビアのためにスパイ活動をし反体制派の情報を提供したとして1人は公判中である
  • 今回の事態はサウジアラビアの非公然活動に対して米国の司法当局が非難する初めての事例である

アメリカの「最大の脅威」は中国 米FBI長官が説明 - BBCニュース」とFBIによる中国への非難が注目を集めているが、中東における米国の最大の同盟国と言えるサウジアラビアを攻撃する事態が生じていることは記憶に留めておくべきだろう。

(図表5 「新しい中東(The New Middle East)」構想)
f:id:suguru_125:20200709124726j:plain(出典:Global Research*7

 2000年代にNATO高官の間で流布されたというこの「新しい中東(The New Middle East)」構想において、サウジアラビアは大幅な解体を受けることになっている国である(なおイスラエルが1967年以前の国境に後退している点は注目に値する。昨日取り上げた記事を参照されたい(
))。


zeitgeist.hatenablog.com

 仮に米国とサウジアラビアが関係を緊張化させるとなると、中東でのパワーバランスが偏る。特にイランが力を付けることになる点に注目したい。

(2) まとめ

  • 米国とサウジアラビアは徐々にその関係を弱めていっていると考える
  • その結果、イランが裨益することとなる

6. ニュース(4):地銀の未来

www.asahi.com

(1) 知っておくべきこと

  • SBIによる地銀との連携を10行まで広げるつもりであると北尾吉孝SBIホールディングス社長が発言した
  • 今年9月までに決着を付けるつもりであるという

 SBIが提携(出資)している地銀をまとめるとこうなる*8

銀行(地域) 出資割合 備考
島根銀行島根県 34%
福島銀行福島県 19.25%
筑邦銀行(福岡県) 3%
清水銀行静岡県 3%
大東銀行福島県 17・14% 今回の構想とは関係ない

1つ解せないのは、ネット証券などで成功するSBIが実店舗(地銀)をもつメリットがどこにあるかという点だ。慎重に検討したい。

(2) まとめ

  • SBIはますます地銀を傘下に置いていく
  • そこで何を模索しているかがポイント
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