前回はARMA過程の詳細を述べた。今回はARMAモデル選択・診断について述べる。
zeitgeist.hatenablog.com
引き続き、以下の書籍を基に学んだことを整理していく。

経済・ファイナンスデータの計量時系列分析 (統計ライブラリー)
- 作者:竜義, 沖本
- 発売日: 2010/02/01
- メディア: 単行本
4.ARMA過程(5):モデル選択
(1) 自己相関・偏自己相関
今回は、定常かつ反転可能なARMA過程が真のモデルであるとき、観測値を基に適当なモデルを構築する方法を考えたい。
最初、効率的な探索を行うべく標本自己相関ないし標本偏自己相関を用いてモデル候補を絞り込む。AR過程とARMA過程の自己相関関数の絶対値は指数的に減衰していった。これに対してMA過程の自己相関は
次以降で
になるために標本自己相関が
次以降で急遽
近くになるかどうかが1つの判断材料になるからだ。AR過程とARMA過程との判別は偏自己相関を用いて判断することができる。
確認のために再提示しておくと、任意のについて自己相関係数
は
これに対して偏自己相関
ARモデルであれば
次以降の偏自己相関は
となる一方でMA過程であれば無限の偏自己相関を有するものの、その絶対値は指数的に減衰していく。
整理すると、
モデル |
自己相関 |
偏自己相関 |
---|---|---|
AR |
減衰していく | |
MA |
減衰していく | |
ARMAモデル | 減衰していく | 減衰していく |
4.ARMA過程(6):モデルの診断
モデル構築を終えた後、その正当性を判断しなければその妥当性を担保できない。
ARMAモデルであれば、回帰分析でいう残差に相当する誤差項についてホワイトノイズであるとの仮定を置いている。そこでこれが自己相関を有するか否かを検定すればよい。このとき母数の数だけ自由度が減るため、ARMA
モデルであればかばん統計量の値と
分布の
%点の値とを比較する。
まとめ
以上、モデル選択を説明した。次回はこうしたモデルを用いた予測を説明する。