前回は時系列解析の基礎として定常性やホワイトノイズを導入した後、いよいよ過程を導入した。
過程はランダムな変動の集積として現時点の値を説明するものだった。
zeitgeist.hatenablog.com
引き続き、以下の書籍を基に学んだことを整理していく。

経済・ファイナンスデータの計量時系列分析 (統計ライブラリー)
- 作者:竜義, 沖本
- 発売日: 2010/02/01
- メディア: 単行本
3.ARMA過程(2)
前回学んだことを復習しておこう。
時系列解析で焦点を当てているのは異時点間の相関であるからそれをモデルに織り込むことが論点となる。その相関のモデル化には2つの考え方がある。1つは異なる時点の値に共通の成分を含める方法である。もう1つの方法はある時点に過去時点の値を盛り込む方法である。前者が
過程であり後者が
過程である。実はこれらを組み合わせた
過程を考えることもできる。
このうち後者の方を今回は扱おう。
AR過程
ある時点の値にそれ以前の値を盛り込む方法として自己回帰()過程がある。
次
過程は
また上に掲げるシミュレーションから予想されるように、定常性の有無はパラメータの値に依存して決まる。
具体例を考えてみよう。たとえば次
過程は
さて一般の
また分散は
さらにラグ
\begin{eqnarray}
\begin{cases}
C_{ov}[y_t,y_t]=C_{ov}[c+\sum_{i=1}^{n}\phi_{i}y_{t-i}+\epsilon_t,y_t], &\\
\vdots & \\
C_{ov}[y_t,y_{t-n}]=C_{ov}[c+\sum_{i=1}^{n}\phi_{i}y_{t-i}+\epsilon_t,y_{t-n}] &
\end{cases}
\end{eqnarray}
であり、これをまとめると
\begin{eqnarray}
\begin{cases}
\gamma_0=\displaystyle \sum_{i=1}^{n}\phi_{i}\gamma_i, &\\
\vdots, & \\
\gamma_n=\displaystyle \sum_{i=1}^{n}\phi_{i}\gamma_{n-i}. &
\end{cases}
\end{eqnarray}
このように自己共分散
なお定常性の有無については、以下の方程式(
の解の絶対値がすべて
まとめ
以上のとおり、過程を導入した。
過程は
過程に比較して定常性を必ずしも持つわけではないという欠点をもつものの、自己共分散が解析(数値)的に計算できることや循環成分を表現することができることなど、解析において利点を有する(特に
過程により直感的に理解しやすい)。
*1:ここからでなければならないと示唆される。