昨日(4月28日)、厚生労働省が有効求人倍率を発表した*1。「2016年9月以来、3年半ぶりの低水準」ということで、コロナウイルスの影響を受けて如実に悪化する格好となった*2。
そもそも有効求人倍率は定義が「わかりにくい」とよく言われる。その定義を確認しておくと*3:
全国の公共職業安定所(中略)で取り扱った求職,求人,就職等の件数を集計したものである。(中略)
有効求人倍率=有効求人数/有効求職者数(倍)
すなわちハローワーク経由ではあるが、仕事を求めている人の数に対してその需要を満たし得る仕事の口数があるのかを表す指標であるというわけだ。したがって有効求人倍率が大きい方が仕事が多い、言い換えれば好況と判断できそうだ。
ハローワーク経由というのがややこしい。実際「職業安定業務統計は,そのカバレッジ自体は安定的に推移しているため,ハローワークにおける労働需給の指標としては引き続き有効であるが,経済全体としての労働需給を十分反映していないとみることができる」(註:下線は引用者)との指摘がある*4。
有効な指標ではあるということで、地域別にその趨勢をまとめてみる*5:










いずれの地方も求人が悪化しているのを確認できた。
他方でこう見てみると、意外だが(失礼!)中国地方の水準が高い。最直近(2020年3月)のものだけであるが有効求人数および有効求職者数を見てみるとこうなる*6:
2020年3月の有効求人数および有効求職者数(いずれも季節調整済み)
有効求人数(人) | 有効求職者数(人) | 有効求人倍率(倍) | |
---|---|---|---|
北海道 | 93,034 | 83,361 | 1.12 |
東北 | 178,685 | 139,120 | 1.28 |
南関東 | 577,947 | 401,987 | 1.44 |
北関東・甲信 | 182,208 | 133,350 | 1.37 |
北陸 | 113,851 | 74,857 | 1.52 |
東海 | 265,222 | 186,461 | 1.42 |
近畿 | 411,641 | 289,919 | 1.42 |
中国 | 176,499 | 104,957 | 1.68 |
四国 | 83,882 | 59,027 | 1.42 |
九州 | 293,287 | 232,827 | 1.26 |
やはり中国地方の絶対的な雇用水準が大きいわけではない。ハローワーク経由で雇用を求める法人が多いと解釈すべきか。
普段まじまじと見ることのない統計データを眺めてみるだけでも随分違うものだというのが今回のまとめ。
*1:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212893_00034.html
*2:https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL27I2V_X20C20A4000000/
*3:梅田雅信・宇都宮浄人(2009)「経済統計の活用と論点 第3版」東洋経済新報社 P235
*4:同前掲書 P227
*5:データは 一般職業紹介状況(職業安定業務統計) 一般職業紹介状況 3月分 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 の「都道府県別・地域別労働市場関係指標(実数及び季節調整値)」をダウンロードし取得したExcelファイルの「加工・分析用(季節調整値)倍率」シートを利用した
*6:一般職業紹介状況(職業安定業務統計) 一般職業紹介状況 3月分 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 の「都道府県別・地域別労働市場関係指標(実数及び季節調整値)」をダウンロードし取得したExcelファイルの「有効求人数(季節調整値)」シートおよび「有効求職数(季節調整値)」シートから筆者作成